
夜明けを待つ
¥1800(本体)+税
発売日:2023年11月24日
生と死を見つめ続けてきたノンフィクション作家の原点をたどる
エッセイ&ルポルタージュ作品集
『エンジェルフライト』『紙つなげ!』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』……。
読む者の心を揺さぶる数々のノンフィクションの原点は、佐々涼子の人生そのものにあった。
家族との交流、たび重なる病、書くことの重圧、
そして、宗教的なるものを求めた旅……。
ここ10年に書き溜めてきたエッセイとルポルタージュから厳選した、著者初の作品集。
私たちは10年という長い年月を、とことん「死」に向き合って生きてきた。
しかし、その果てにつかみとったのは、「死」の実相ではない。
そこに見えたのは、ただ「生きていくこと」の意味だ。
(第1章「『死』が教えてくれること」より)
商品情報
書名(カナ) | ヨアケヲマツ |
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判型 | 四六判ハード |
ページ数 | 272ページ |
ジャンル | エッセイ |
ISBN | 978-4-7976-7438-5 |
Cコード | 0095 |
刷数 | 第5刷 |
著者略歴

ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経てフリーライターに。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。2014年に上梓した『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス!第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞などに、2020年の『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)は、Yahoo!ニュース|本屋大賞2020年 ノンフィクション本大賞に輝いた。他の著書に『ボーダー 移民と難民』(集英社インターナショナル)など。
目次
第1章 エッセイ
「死」が教えてくれること/夜明けのタクシー/体はぜんぶ知っている
世界の外側/今宵は空の旅を/命は形を変えて
この世の通路/アカレンジャー/諦念のあと
献身/背中の形/幸福への意思
実習生の家/もう待たなくていい/ダイエット
弔いの効用/ハノイの女たち/未来は未定
いつもの美容師さん/夜明けを待つ/痛みの戒め
柿の色/冬眠/ひろちゃん
和製フォレスト・ガンプ/片方のてぶくろたち/誰にもわからない
トンネルの中/スーツケース/梅酒
ばあばの手作り餃子/縁は異なもの/晴れ女
第2章 ルポルタージュ
ダブルリミテッド① サバイバル・ジャパニーズ
ダブルリミテッド② 看取りのことば
ダブルリミテッド③ 移動する子どもたち
ダブルリミテッド④ 言葉は単なる道具ではない
会えない旅/禅はひとつ先の未来を予言するか/悟らない
オウム以外の人々/遅効性のくすり
あとがき(書き下ろし)
お知らせ
- 『夜明けを待つ』重版出来! 2025年01月21日
- 『夜明けを待つ』メディア掲載情報 2024年12月24日
- 10月7日 朝日新聞に全5段広告を掲出しました。 2024年10月07日
- 【訃報】ノンフィクション作家の佐々涼子さんが逝去されました。 2024年09月02日
- 『夜明けを待つ』重版出来! 2024年03月08日
担当編集者より
今まで佐々さんが書き溜めてきたエッセイや記事をまとめたい、と佐々さんにお伝えしたのは2023年の1月でした。前年の手術を経て、佐々さんがご自宅で療養されている時期です。前作『ボーダー』に続き、佐々さんの作品を編集したい、という強い思いだけがありました。
佐々さんのご了承を得た後、御主人から新聞と雑誌が詰められた大きなダンボール箱が届きました。それぞれの掲載日、編集担当者名と、原稿のテキストデータがあるかどうかの一覧もついていて、原稿を整理するのにとても役立ちました。
タイトルについては、とても悩みました。
今まで佐々さんと編んできた作品は、『エンジェルフライト』にしろ、『エンド・オブ・ライフ』や『ボーダー』にしろ、執筆している最中に佐々さんがすでに心の中でこれと定めていて、どれもそれ以上のものはない、いう強いタイトルでした。話し合う必要がなかったのです。
今回、佐々さんとメールと電話で何度もやり取りしたのですが、作品集ということで、いろいろなアイデアが出て、迷いました。最終的に、日本経済新聞の連載で児玉晃一弁護士のことを書いたときのタイトル「夜明けを待つ人」から取りました。佐々さんの現在のお気持ちに沿った、いいタイトルになったと思います。
装丁は、『エンド・オブ・ライフ』の装幀をお願いした有山達也さんにお願いしました。
カバーに使われた夜明けの空の写真は、これも『エンド・オブ・ライフ』と同じ長野陽一さんが出雲で撮られたもの。タイトルと響き合うような、明日への希望を感じさせてくれるカバーとなりました。
この作品集は、ただ10年分のエッセイやルポルタージュを集めたものではありません。佐々さんがどのような家庭で育ち、どのような青春時代を送り、どのような子育てをし、どのような職業を経てきたのか。また、ノンフィクション作家として立った後、書くべきテーマに悩み、人に会い、旅に出かけ、出会った人々に共感あるいは反発し、世の中の矛盾や不公平に憤り、書くことでそれを表現してきたこと。それらすべてがこの1冊に凝縮されています。
『夜明けを待つ』は、佐々さんご自身の半生を写した、まさに「ノンフィクション佐々涼子」なのです。