目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
2022年Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞 受賞記念スピーチ
提供元:THE PAGE/ヤフー株式会社
川内有緒さんスピーチ全文
この度は「全国の書店員さんが選ぶ」という、とっても光栄で、とってもあたたかい気持ちになる賞を授かって、本当にありがとうございます。すごく大きな喜びもあり、同時にすごく大きな、さらに大きな驚きに、自分はいま包まれています。
というのも、この本は本当にタイトル通りストレートな本でして、全盲の白鳥建二さんという男性と、私と、友人の佐藤麻衣子さんという3人が、バンドメンバーみたいな感じで日本全国の美術館を巡って、作品を前にしていろんなおしゃべりをする。そういう本なんですね。本の8割くらいが、作品を前にして何を考え何をしゃべったか。言ってしまえば、本当にそれだけの本なんです。
でも、この本を書店員のみなさんが「推したい」「読んでほしい」と考えてくださった。その理由について私はずっと考えてきたんですけど、きっとそれは本が面白いとか、白鳥さんの生き方がユニークだとか、アートが素敵だとか、そういう個別の理由ではなかったんじゃないかなと考えています。
多分この本をきっかけにして、私たちはどういうふうに生きたいのか。どういうふうにして、他の人と、背景が全然違う生き方をしてきた人たちと、付き合って、友達になって、生きていきたいのか。この社会はどうなっていったらいいのか。そういうことを考えてくださった方がいるんじゃないかなと私は想像しました。
ちょっとだけ、私と白鳥さんがどうやって出会ったのかをお話ししたいと思います。白鳥さんは、共通の友人の、美術館に勤める佐藤麻衣子さんが紹介してくれて。そのときは、本を書こうという気持ちでお会いしたわけではなくて、ただ「白鳥さんっていう人がいて、目が見えない人なんだけど、アートが好きで、一緒に見ると楽しいよ」と言われて。「楽しい」の意味はわからなかったけど「じゃあ行こう行こう」みたいな感じで始まって。
ただ、その日になって、地下鉄の中で初めて「え、目が見えない人が作品を見るってどういうことなんだろう?」と考え始めたんですね。実際、美術館に着いたら、白鳥さんとマイティ――佐藤さんのことを私はマイティと呼んでいるんですけど、マイティがいて。白鳥さんが「じゃあ、では、お願いします」と。そのときに初めて白鳥さんって人は、言葉で、耳で、会話でアートを見る人なんだと理解しました。
私たちは作品を前にしていろんな話をするんですけど、初めて見る作品ばっかりなので、合ってるか間違ってるか全然わからないままに、「こういう感じに見える作品で、きっとこの人はこんなことをしてて、私はこんなふうに感じるけど、マイティはどう?」って言うと、マイティは「うーん、私は……」。そんな感じで話が進んでいったんですね。
でも途中で、「この話でよかったのかな? 考えてみたら、私が言ってることって間違いだらけだったりするんじゃないかな?」と、ちょっとだけ心配になったんですけど、白鳥さんは「面白いね」と。「あれ、どういうことなんだろう?」と思ったら、白鳥さんがエンジョイしているのは、作品そのものの解説ではなくて、そこにいる人たちの会話、間違ってるか合ってるかもわからないその会話のライブ感とか、すべてをひっくるめて楽しんでいるんだということが分かりました。
それからすごく楽になって、こんなふうにアートって見ていいんだなと分かって。また、マイティは美術館で働く人でありながら「作品はどういうふうに見ても自由なんだ」と結構強い信念を持っている人で。そこにも影響されて、我々は3人で、「もうちょっと作品を見ていきましょう」ということで美術館をいろいろ巡りました。
以上のことから分かるように、この作品はとくに読み終わった後に、めちゃくちゃ深い感動を覚えるとか、ドラマがあってスペクタクルがあってクライマックスがあって……みたいなものはありません。いろんな会話がただ淡々と流れてく、そんな本だと思うんですね。これを聞くと「え、そんな本なの?」と思うかもしれないけど、そういう本が大きな賞に選ばれることに、私は逆に希望を見出す瞬間があるんです。
というのは、これは別に私が白鳥さんを助けてあげる話でもないし、白鳥さんが何か大きな困難を乗り越えるわけでもない。日常がただくり返されていくような本なんですけど、やっぱりそういうものこそが本当のものというか。
私たちの日常は、ドラマやスペクタクルにあふれているわけではなくて、障害がある人もない人も、同じように毎日淡々と日常を送って、その中で楽しみを見つけている。そういうことを実は描きたかった、というのがありました。
よく障害がある人がメディアで取り上げられるというと、やっぱり何か難しいこと、困難を乗り越えたり、何かを克服したりとか、そういうことが描かれることが非常に多くて、それはそれでもちろん素晴らしいことで、私も心を動かされることも多いけれど、それがあまりにもくり返されたり強調されたりした結果、我々の頭の中に、ある種の「障害は乗り越えるべきなんじゃないか」とか、他の人と同じように、障害がある人だけじゃないですね――例えば困難を抱えている方も、「それを乗り越えるために、努力するべきなんじゃないか」という考え方が、社会の中に蔓延しているんじゃないかという思いを抱えるようになって。
でも、実際、果たしてそういうものなのかなって。ちょっと疑ってみてもいいんじゃないか。そういうことを考えながら、この本を書いていました。
私は私で、未熟で、偏見に満ちていて、無知でわからないこともたくさんあって。そういうことを一つひとつ考えていった「自分そのもの」も、きっとこの本に書いていかないといけないのかなって思いました。それによって、他の読んでくださったみなさんも「自分の内なる偏見に気づいた」とか「自分の気づかなかった点に気づきました」みたいにおっしゃってくれる方もたくさんいて、私も勇気づけられます。
白鳥さんを、ありのままに描いていきたいなという気持ちが私の中でありました。白鳥さんはとてもチャーミングな人で、酔っ払うと写真をいっぱい撮っちゃって、それが何十万枚もハードディスクにたまっちゃったりとか、酔っ払って路上で前後不覚になっちゃったりとか。すごくユニークな人物で、そういうところも伝えていきたいなと思いました。
今日まで、いろんな感想をいただきました。「アートの見方が変わった」とか「自分のなかの偏見に気づいた」とか。「誰かと喋りたくなった」「会いたくなった」「美術館に行きたくなりました」、そんな感想をたくさんいただきました。
それと同時に、疑問を呈する感想もいくつかいただきました。そのうちのひとつが、「美術館はやっぱり静かな方がいいんじゃないか」。「美術館で会話をする人は迷惑だから、自分は受け入れられない」という方もいらっしゃいました。一見すると、まあそうだな、なるほどなと思う意見ではあるんですけど、そういうことも、実は本当にそうなのかな、それでいいのかなって少し考えてみてもいいのかなと私は思うんですね。
というのも、美術館というとひとつのくくりになってしまうんですけど、やっぱり美術館にはいろんな美術館があって、美術館にも多様性がある。我々が一人ひとり違うように、美術館も違う。「すべての美術館でお話をしましょう」ということではなくて、会話しても問題ない美術館では会話をすればいいし、むしろ積極的に喋りながら見たら面白い作品もたくさんある。
アートといっても、クラシックから現代美術まで本当にいろんなものがあるのですが、「美術館はこう」「これはこうあるべき」って決めつけてしまうと、やっぱりその決めつけが、どんどん窮屈な空気感を生んでしまい、時として社会の選択肢を減らしてしまう。やっぱり私は「こうだから、全部こう」と簡単にひとつのものにまとめ上げない、複雑な社会を受け入れていくことをしていかないといけないんじゃないか、と思うんですね。
これは美術館の中に限ったことではなくて、すべての場所に言えることだと思うんです。電車とか公園とか、大きいところでは国会とか。いろんな人がいろんな場にいられる。一緒にいることができる。
日本の場合は、「他の人に迷惑をかけない」とか「迷惑をかけたくない」という意識がすごく強くて。その空気感が積み重なると、回り回って、我々が生きる場所をどんどん息苦しいものにしてしまうと思うんです。それが積み重なると、いまある選択肢もなくなってしまい、選択肢が1だったものが0になってしまうこともときにある。でも逆に、選択肢を0から1、1から2に変えていく。そういう社会の発展の途上にあるのではないかと思います。
とにかく、そんなことを考えながら私は本を書いていたんですけど、当の白鳥さんは「社会を変えよう」とか「枠組みを変えよう」とかは思っていなくて、自分自身が楽しいから美術館に行っているだけ。それがいいところで、私たちはいろんなことを考えてはいたけれども、究極的には楽しくみんなで美術館を巡ってきた。そういうお話です。
私にとってノンフィクションを書くのは、自分自身がこの時代を生きている、いろんな人と関わっていく、一つのやり方、ツールと考えています。
私たちは、一人ひとり違う生き方をしていて、価値観を持っていて、体のあり方、心のあり方も違っていて。私は他の人になれないし、他の人も私になることはできない。だから時として、私たちはなかなか話し合っても、わかり合えない部分がすごく大きいのですが、それでもわかり合えないけどわかりたい。わかりたいけどわかり合えない。その間をせめぎ合いながら、その切なさを抱えながら、私たちはなんとか一緒に生きていく道を探さないといけないと思います。
そんなこともあって時として、自分には自分が生きる社会が、なんというか荒野のような場所に見えてくるんですね。そこには希望もいっぱいあって。同時に絶望もいっぱいあって。希望と絶望が同居しているような感じがしています。
ノンフィクションの書き手はいろんな方がいらっしゃるんですけど、私は自分の性格的に楽しいことが好きなので、私はどちらかというと希望の方を、希望とか夢とか愛情とかをより集めるようにして、いままで本を書いてきました。
ただ、そういう本を書いて、石みたいにして精一杯遠くまで投げたとしても、そんなに遠くには届かないんじゃないかと思っていた瞬間もありました。とくにこの本は「アート」と「会話」をテーマにした一風変わった本なので、そこまで読まれないんじゃないかとずっと思ってきたんですね。でも、現実には大勢の方が読んでくださって。いまこうして遠くの方までその石が届こうとしていることに心から感激しています。
長くなってしまったので、あらためて最後にお礼を言いたいと思います。
まずはずっと一緒に旅をしてくれた、白鳥建二さんと佐藤麻衣子さん、本当にありがとうございました。
あとは、たくさんの人がこの旅に同行してくれて本の中に登場してくれました。今日はここにはいないけれども、その友人たちにもありがとうを伝えたいと思います。そして、たくさんのアート作品が出てくる本です。アーティストや何かを伝えようとして表現してきた人たち、美術や文化を愛してきた人にもあらためてお礼を言いたいです。
またこの本を出すために、本当にたくさんの力を貸してくれた編集者の河井好見(かわい・よしみ)さん、集英社インターナショナルのみなさん、そして最後に、この本をこんなに遠くまで連れてきてくださった全国の書店員のみなさん、読者のみなさん。本当にありがとうございました。
この感謝を胸に、これからも書き続けていきたいと思います。本日はありがとうございました。
書き起こし:笹川かおり/news HACK by Yahoo!ニュース
投票書店員さんのコメント
本書紹介動画
映像:三好大輔(アルプスピクチャーズ)
一緒に見る、その先に見えてきた世界とは──
白鳥建二さん、51歳、全盲の美術鑑賞者。
年に何十回も美術館に通う――。
「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」
という友人マイティの一言で、
アートを巡る旅が始まった。
絵画や仏像、現代美術を前にして会話をしていると新しい世界の扉がどんどん開き、
それまで見えていなかったことが見えてきた。
アートの意味、生きること、
障害を持つこと、一緒に笑うこと。
白鳥さんとアートを旅して、
見えてきたことの物語。
岸田奈美さん(作家)
誰かとわかりあえない寂しさを、
幸福な余白に変えてくれる本でした。
文章、アート & more!
- 大迫力の風間サチコさん《ディスリンピック2680》をカバー裏面に掲載!(本文にはあえて掲載していません)ぜひ、第9章の会話から作品を想像したのちにご覧ください。
- 作品画像(カラー&モノクロ)を多数掲載!
- 視覚障害などの理由で本書をお読みになれない方にテキストデータを提供いたします。本書奥付よりご応募ください。
識者からもコメント続々到着!
和田靜香さん(ライター)
立場の違う人同士が対話を続けるって、すごいことだね。白鳥さん、そしてマイティ、さらには古くからの友人や見知らぬ人たちとアートを見ながら対話を重ねた有緒ちゃん。最初は「明確な理由は自分でもわからないけど」と言い、最後も「なぜ、わたしは白鳥さんと一緒に美術館をめぐってきたのだろう」と言いながら、思いもしなかったところへ心が旅し、発見の連続で、とっちらかるかと思えば、どんどん核心へ近づいていった。すごい、すごい、すごい。本当におつかれさまでした! と、足三里(あしさんり/膝の下あたり/疲れをとるツボ)をキュッキュ押してあげたい気持ちです。
金井真紀さん(文筆家・イラストレーター)
この世でいちばんおもしろいのは、他者に出会って、自分自身が揺さぶられることだ。きっと恋も、旅も、子育て(は未経験だけど)も、その部分がおもしろいんだと思う。自分の狭い視野や思い込みにガツンとパンチを食らう痛さ、と気持ちよさ。この本にはそれがぎゅうぎゅうに詰まっている。
本書の中に、白鳥さんとアートを見に行くことを「荒野を行くようなもんだ」と表現する人が出てくる。あぁ、荒野。これは川内有緒さんという冒険家が荒野を行き、気持ちよく揺さぶられ続けた記録である。読み終わると本が付箋だらけだった。
青山ゆみこさん(文筆家)
読み終えた今、「完走してロス」みたいなさみしい気持ちです。有緒さんと白鳥さん、みんなをもっと見ていたかった……だってあんまり面白いから。次々に映し出される「その人がその人である姿」が愛おしいから。アートに触れて何かが生まれる瞬間が楽しくて仕方がないから。わたしはこの余韻を味わい、心を揺さぶられ、これからも突き動かされ続けることでしょう。
「川内有緒」というアーティストが主宰の「本」というカタチをしたパフォーマンス作品。言葉にできないものを見た、触れた。そんな大きな大きな一冊でした。
佐久間裕美子さん(文筆家)
自分の目に見えることが現実とは限らない。知ってると思うことが真実とは限らない。それに気がつくと世界が広がる。
白鳥さんとこの本が教えてくれた。
佐々木美佳さん(映画監督)
美術作品をめぐって生まれる取り止めのない会話にこそ、心の内側を知る鍵が隠されている。
新たな旅の形を、川内さんは惜しげもなく言葉で開示してくれた。読み進めるたびに、私の知らない遠くの他者へ、
そして自分自身へと心が誘われる気がした。
北尾トロさん(ノンフィクション作家)
発車の合図は9ページ目、「じゃあ、お願いします」の一言だ。美術館で全盲の白鳥さんが同行者の肘に触れ、
肉体が“連結“することで始まる、見える者/見えない者の心の旅。
どう伝える、何を伝える? 著者は迷い、普段は蓋を閉じている自分の気持ちに向き合わされる。
この本は、終着駅が読者の数だけ存在するミステリートレインだと思う。白鳥さんの体温を感じながら、
僕にも同じことが起きた。そして、旅は読み終えてからも続くのだ。
荻田泰永さん(北極冒険家・冒険研究所書店主)
全盲の方と美術鑑賞!? と誰もが驚くが、果たして晴眼者にも本当に「見えて」いるのだろうか? と気付かされる。
人は見たいようにしか見ていないからこそ、見えていない人にだけ「見える」世界がある。
これは、美術の話であり、愛の話であり、常識を乗り越える力の話だ。まさに、美術の大冒険!
矢萩多聞さん(画家・装丁家)
絵を描くのは好きだけど美術鑑賞は苦手なぼくが、白鳥さんとならば、美術館に行きたい、と思う。
なにかと不自由ばかりが目立ついまの時代に、アートの前で、正解もなくケタケタ笑っておしゃべりしている。
そんなのサイコーじゃないですか。
高野秀行さん(ノンフィクション作家)
想像以上に面白かった。「見える」「見えない」とは何か? 「アート」とは何か? 障害や差別とは?
わいわい楽しく仲間たちと美術鑑賞の旅をしながら、常識がどんどんひっくり返されていくのが痛快。
いつもながら川内さんの伸びやかな文章はちぢこまった心を広い世界に解き放ってくれる。
櫛野展正さん(クシノテラス主宰/アーツカウンシルしずおか チーフプログラムディレクター)
目の見えない白鳥さんは、なぜ美術館巡りを始めたのか?
その一歩が、僕らの偏見を壊してくれる。
さぁ、ページをめくって一緒に旅へ出かけよう。
お知らせ
- 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』メディア掲載情報
- 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』がオーディオブックに!
- 映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』、2月16日より全国順次公開!
- 単行本注文書 2022年12月
- 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』電車広告を掲出しました。
- 11月15日 朝日新聞に全5段広告を掲出しました。
- 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』重版出来!
- 【受賞】2022年Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒
- 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』重版出来!
- 8月15日 朝日新聞に書籍連合広告を掲出いたしました。
白鳥 建二(しらとり けんじ)
1969年千葉県生まれ。全盲の美術鑑賞者、写真家。
生まれつき強度の弱視で、12歳のころには光がわかる程度になり、20代半ばで全盲になる。その頃から様々な人と会話しながら美術鑑賞をする独自の活動を始め、水戸芸術館現代美術センターをはじめ、いくつもの場所で講演やワークショップのナビゲーターを務める。
また、2005年からデジカメで写真を撮るようになり、撮りためた写真は40万枚を超え、写真家しらとりけんじとして、滞在型展示などの活動も行う。撮影した写真はnoteに掲載。
皆さまの声 〜 感動の声、続々と 〜
こんなにも「学び」と「発見」に満ちた一冊も稀と思います。
控えめにいって今年No.1の価値ある作品でしょう!
(フリーランス書店員・ブックジャーナリスト・内田剛さん)
ノンフィクションの中に美術作品の新たな楽しみ方、見方、面白さと、社会の生と死、障がい、差別というテーマが見事に混じりあい文字通り目覚める作品でした。
夢の家やランプの男等現代アートだけみても素直に楽しめ、考えさせられました。白鳥さんとみなさんの対話に読者も読むにつれて参加している…読後には実際に参加したいと思わずにはいられません。
最後には自分の意識の閉塞がぱっと開ける、ノンフィクションでした。
(ジュンク堂書店吉祥寺店・石火矢優佳さん)
アートがグッと近くなる。
白鳥さんから温かなムーブメントが起こる。
心が柔らかくなるノンフィクションに、新たな視点の貴重な模擬体験ができました。
(うさぎや矢板店・山田恵理子さん)
障がい者という言葉を作り出したのは健常者。どんな凸凹があっても心は自由! 白鳥さんもまわりの人達もすてきです!
(うさぎや作新学院前店・丸山由美子さん)
とても面白かったです! 知らない世界をいっぱい見せてもらいました。私の中の常識は先入観や偏見で凝り固まっていることに気付かされました。まずはやってみようをモットーとしてましたが白鳥さんの行動力や知識欲には敵いません。驚きました! まだ頭や心の柔らかい子供たちにこそ知ってもらいたい内容だと思いました。美術館にも行きたくなりました。←単純
美術館とは静かに見て回るものだと思っていたけどみんなでこんな風に回れたらなんて楽しいんだろう。今のご時世的にも難しいけどいつかやってみたいです。
(BOOKSえみたすピアゴ植田店・清野里美さん)
目から鱗!!
私の未知なるアートの世界が開きました。
無性にまた美術館へ行きたくなります。
そして誰かと一緒に作品を眺めて語り合いたい。
優生思想についても考えさせられました。
(未来屋書店大日店・石坂華月さん)
読書中、私自身が白鳥さんとアートを見ている気分になりました。
それは、川内さんが読者目線に近く、感じたことを素直に綴った実直さ故と感じます。自分自身の絵の見方や視覚障害者に対する先入観を省みる機会ともなりました。本書に登場する皆さんが魅力的で、皆さんの会話のやり取りが本書の魅力の一つと感じます。本書を通じて、人と顔を合わせ語らい合うことの楽しさを再確認致しました。
(旭屋書店志木店・三浦拓朗さん)
「見える」ということの意味、個人的な記憶や消されてはならない記憶を引き継ぐこと、ひとにとって「曖昧であること」、そして「ひとが一緒にそこにいる」ことの切実さが、まるで一緒に自分もその場にいるような活きた文体に乗って、ぐぐっと心に迫ってくる作品でした。
(あんず文庫・加賀谷敦さん)
まずは一言!! 引き込まれました!! ただアートを鑑賞するだけでなく会話でアートを伝える。『正解』なんか気にせずに自分の見たままを素直に表現しながら白鳥さんに伝える作者さん達の楽しいやり取りで、私まで見たことない作品を鑑賞できました(笑) いろいろ考えもさせられて知らない世界を知ることが出来て良かったです。
先日ミュシャ展に行ってきたばかりだったので、 自分ならどうするだろうとも考えました。いつも美術展って眺めながら自分の好き勝手に話をしながら鑑賞してたのですが、美術の見方とか知らないのであってるかどうか不安もありましたが、自分が楽しみながら好きなように見ればいいのだということもちょっと実感しました。
(コメリ書房鈴鹿店・森田洋子さん)
大好きな絵画の前に立つと、これを目に焼きつけていこうと、必死に見つめつづけるが、私は本当に見えていたのか、何を見ていたのか、白鳥さんに自分の愛する絵を説明することはできるのか、考えてしまいました。
すごい、すごい人です白鳥さん。目に見えない壁を越えていく姿に自分を反省しました。
(丸善お茶の水店・宮澤笑子さん)
タイトルにすごく興味を持ちました。
全盲の白鳥さんと一緒にアートを見にいくことで、ハンディを持った方への接し方が分かるのかと思いましたが、新しい発見だらけです。
一緒に見ることで、晴眼者も一緒に勉強になるだけでなく、そもそもハンディを持った方へは優しくしましょうという考え方すら、本質でないとのこと。最後には、人との関係性だけでなく、人生の考え方を根本から見つめ直す貴重な本です。
(TSUTAYA BOOKSTORE ららぽーとEXPOCITY店・飯室繁樹さん)
“多様性”とは、男女比を合わせたり多国籍の社会を構築することではない。
相手を深く理解することだ。
それでようやく、僕らはスタートラインに立つ事ができる。
全盲の美術鑑賞者と一緒にアートを“見る”。
恐る恐る歩み寄る川内さんと、自然体で受け入れる白鳥さん。
二人の姿に、称賛を送りたい。
(紀伊國屋書店広島店・池田匡隆さん)
アートにあまり興味がなく、美術館にもそれほど足を運んだことのない私ですが、とても面白く読ませていただきました。美術館行ってみたい! そして、思ってもみなかった「時間」や「存在」について考えさせられました。
とても軽快で、自由で、なんだか泣きたくなるほど愛おしい、そんな一作でした。
(よむよむ坂戸入西店・阿部千鶴子さん)
白鳥さんととりまく友人たちとの空間、空気が自然に流れていて心地よかったです。目が見えない人は不幸だと思いこんでいた自分がなさけないです。アートを見る本当の楽しみ意味を教えてもらいました。みなさんの好奇心いっぱいで新しいまなざしを吸収しようという心がまぶしかったです。この作品には人間にとって大切なもの、生きる意味が優しい文章で綴られていました。
(ジュンク堂書店滋賀草津店・山中真理さん)
目が見えるとか見えないとかではなく、どこまで行っても他者は他者で、ほかの誰にもなれないこと。だからこそ、わかりあえなさを抱えながらこの瞬間を味わい、ただ一緒にいること、笑いあうことの幸せを見つけていく、本書の旅路に深く頷き魅了されました。
人生という荒野は、笑いあえる時間ばかりではないし、思うにならないことだらけ。でも「いつもなにかすてきなことがあなたを待つよ」と、他者との出会いの流れにのりながら、誰かと笑いあう瞬間を求め自由に生きていこうじゃないか。胸がいっぱいに満たされ、これからの生き方の指針となるような本でした。
(代官山蔦屋書店・宮台由美子さん)
白鳥さんの活動を追った長編ドキュメンタリー映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』(監督 川内有緒、三好大輔)が完成!
2022年のプレミア上映を経て、2023年3月より日本各地の劇場にてロードショー予定。
著者プロフィール
川内 有緒(かわうち ありお)
ノンフィクション作家。1972年東京都生まれ。
映画監督を目指して日本大学芸術学部へ進学したものの、あっさりとその道を断念。
大学卒業後、行き当たりばったりに渡米したあと、中南米のカルチャーに魅せられ、米国ジョージタウン大学で中南米地域研究学修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏のユネスコ本部などに勤務し、国際協力分野で12年間働く。2010年以降は東京を拠点に評伝、旅行記、エッセイなどの執筆を行う。
『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』(幻冬舎)で新田次郎文学賞を、『空をゆく巨人』(集英社)で開高健ノンフィクション賞を受賞。著書に『パリでメシを食う。』『パリの国連で夢を食う。』(共に幻冬舎文庫)、『晴れたら空に骨まいて』(講談社文庫)、『バウルを探して〈完全版〉』(三輪舎)など。 白鳥建二さんを追ったドキュメンタリー中編映画『白い鳥』、長編映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』の共同監督。
現在は子育てをしながら、執筆や旅を続け、小さなギャラリー「山小屋」(東京・恵比寿)を家族で運営する。
趣味は美術鑑賞とD.I.Y。「生まれ変わったら冒険家になりたい」が口癖。
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幸せを感じるのは、「話が通じるとき」という白鳥さんの言葉が心に残る。私もそれを求めて、あちこち出かけてるのかもしれないと思った。丸善丸の内本店・高頭佐和子さん
今まで知らなかった新しい世界を味わった感覚で本当に楽しかった。平安堂長野店・清水末子さん
白鳥さん 有緒さん マイティさんたちの行動力にすごく大きなエネルギーをいただきました。水嶋書房くずはモール店・和田章子さん
美術は「場」であり、浴びるように鑑賞する方法があったのだと発見がたくさんあった。丸善博多店・徳永圭子さん
複数人が参加し語り合うことで様々な視点や考えがあることへの気づき、「自由でいいんだ」という考え等、著者と一緒に視野がひろがる体験をどうぞ。石井書店・竹下さおりさん