
「隠しアイテム」で読み解く春画入門
¥900(本体)+税
発売日:2022年02月07日
「行為」以外に注目すると、春画はもっと面白くなる!
置かれている手鏡の意味は? 煙草、はさみ、着物の柄……春画に隠されたアイテムの意味のひとつひとつを読み解くことで、一枚の絵の中に奥深く艶やかな江戸情愛の物語が見えてくる。
「何が、そこに描かれているのか?」「なぜ、それが描かれたのか?」と「行為」以外に注目すると、春画はもっと面白くなる。春画を「図像学」の方法を用いて読み解く画期的入門書。図版145点掲載。
《春画を「図像学」で読む》
【鏡餅】餅のひび割れの意味は?
【節分】節分の夜には雑魚寝が定番
【雛祭り】雛壇に蛤貝が供えてあるわけは
【握りばさみ】握りばさみは陰毛の手入れ用
【猫】「ねこ」は色男の情夫のこと
【蛙】鳴き声は求愛のメッセージ
【松茸】言うまでもなく陽物の象徴
【刺身のお造り】女陰や接吻を示す隠語
【椿の模様】女性器を象徴する花
【鼠の嫁入り】妾の密通を「ねずみ」と称した
【山伏】門前で色事をネタに唄う
【位牌】後家が密通する相手「位牌間男」
【琴】琴が弾けるのは最高位の遊女
【花札】遊女が客の少ない時にする遊び etc.
商品情報
書名(カナ) | カクシアイテムデヨミトクシュンガニュウモン |
---|---|
判型 | 新書判 |
ページ数 | 272ページ |
ジャンル | 芸術 |
ISBN | 978-4-7976-8094-2 |
Cコード | 0295 |
著者略歴

京都精華大学特別研究員。1977年、愛知県生まれ。総合研究大学院大学国際日本研究専攻(国際日本文化研究センター)博士後期課程修了。博士(学術)。専門は日本美術史、江戸文化論など。春画のほか、仏教説話画、大津絵、妖怪画まで幅広く論じる。福岡市美術館「肉筆浮世絵の世界―美人画、風俗画、そして春画―」(2015年)では、春画の作品選定・解説を担当。著書に『春画論―性表象の文化学』(新典社)など。
目次
●第一章 年中行事と四季
鏡餅/節分/雛祭り/初鰹/菖蒲打ち/七夕/蛍狩り/月見
●第二章 生活習俗と道具
蚊取り豚/金鶏/藍玉/茶釜/和時計/手鏡/裁縫箱/煙草/握りばさみ
●第三章 子供遊びと玩具
やじろうべえ/ヨーヨー/天狗のお面/貝合わせ/雪遊び/影絵
●第四章 動物と植物
猫/鼠/蛙/犬/金魚/とうもろこし/松茸/茄子/ほおずき
●第五章 食文化とファッション
蒲焼/巻きずし/西瓜/刺身のお造り/雛形本/蝙蝠の模様/雷の模様/椿の模様
●第六章 神仏と信仰
地蔵/貧乏神/丑の刻参り/鼠の嫁入り/山伏/位牌/常香盤
●第七章 遊郭と大人の遊戯
琴/陰間茶屋/花札/三味線/宝引
お知らせ
- 『「隠しアイテム」で読み解く春画入門』メディア掲載情報 2022年04月06日
- 2月7日朝日新聞に全5段広告を掲出いたしました。 2022年02月07日
- 【インターナショナル新書 創刊5周年記念】オンライントークイベントのお知らせ 3/11開催 鈴木堅弘さん 2022年01月24日
担当編集者より
著者の鈴木堅弘先生を知ったのは「タモリ倶楽部」『輝け!第1回 春画脇役大賞』でした。
春画のメインである「行為」ではなく、それを覗いている使用人や、置かれている屏風の絵、庭の木などにも意味があって、たとえば椿の花が描かれていたらその女性は処女だとか、恋人の名前を男が着物で隠れる二の腕に彫っていたら忍ぶ恋、つまり愛人関係だろうということが分かるというのです。
春画を、まるでコード(暗号)を解読していくようにして読み解いていけることにワクワクしました。
「脇役」というコード(暗号)を知っていると、季節や時間、ふたりの関係、それぞれの身分や立場まで見えてきて、一枚の絵から物語が立ち上がってくる。
それは「図像学」という西洋美術ではよく用いられる方法論なのですが、これまで日本美術ではあまり用いられてこなかったアプローチなので、春画だけでなく、それ以外の日本美術や江戸文化に詳しい方にも新鮮な深掘りできる視点を提供できるのではないか、そしてそれは、当時の江戸の人たちが春画などを見る際に、当たり前に楽しんでいた見方でもあるのだろうと思うのです。
「脇役」というコード(暗号)を知っていると、一枚の絵から受け取れる豊かさがまったく違ってくるーー引いては江戸という時代の見方も変わる一冊だと思います。
ぜひ手に取って奥深く艶やかな江戸の情愛の世界へ旅してください。