日本は2000年以上続くというロイヤル・ファミリー(皇室)があるという点で、世界的に類例のない国。
いや皇室ほどではないにせよ、日本には平安朝の時代から続くという名家がいくつもありますね。
諸外国にも歴史を彩ったファミリーはいくつもあれども、ほぼ例外なく、どの家系も戦乱の中で消え去ってしまうか滅びてしまっています。
「日本は歴史が生きている国だ」と世界中の人が憧れるのは、そういう意味もあるのだと思います。
たしかに考えてみたら、神話に起源を持つファミリーが存在するってすごいですよ! しかもそれが千数百年も前に書かれた文献に書かれているというのですから、なおさらです。
しかし、残念なことに、というか、あまりにもそれが自然すぎるもので、かえって日本人に「ありがたみ」が分かっていないという部分があるのかも、ですね。
さて、なんでこんなことを書いたかといえば、そうした長い歴史を持っていながら、我々がついうっかり見過ごしている「歴史的ファミリー」の一つである薩摩藩の当主・島津家をめぐる本が出るからです。
島津家の歴史は今から825年前、なんと鎌倉時代の初期にあたる西暦1185年に遡ります。この年、源頼朝から九州にある荘園の管理人(下司ついで地頭職)に命じられたのが歴史に登場した最初なのです。
以来、島津家は江戸末期になるまで南九州一帯を支配し、一時は琉球までも間接支配したという歴史を持っています。
さらに言うまでもないことですが、幕末維新の動乱では、西郷隆盛、大久保利通をはじめとする維新の志士を輩出し、またその後も日清・日露戦争で日本を勝利に導いた陸海軍に多数の人材を送り出したのも、この薩摩です。
弊社から8月26日に刊行される新刊『島津家の戦争』米窪明美は、その島津家の歴史を、分家にあたる「都城島津家」の視点から描かれた一大歴史物語(サーガ)となっております。
いったいなぜ、日本の南端にあるこの島津家と、その家臣団が日本の歴史を変え、さらには世界史の流れまでを変える力を持つに至ったのか──。
歴史好きをうならせた名著『明治天皇の一日』の筆者であり、最近ではNHKドラマ『坂の上の雲』の時代考証もつとめておられる著者・米窪さんが語る、もう一つの『坂の上の雲』が本書である、と申せましょう。
まもなく弊社HPに同書の特設ページが開設されるほか、「ウェブ立ち読み」コーナーでもまもなく、その一部が読めるようになります。どうぞお楽しみに!
