<鉛筆と隣国のとんがった愛情>
とんがるもの というとあなたは何を思い浮かべますか?
80年代に仕事をしていた編集者にとって、とんがるものの代表は鉛筆でした。好みの硬さのとんがった鉛筆を数本デスクに並べて、原稿を書いていました。ドイツに行く友人に頼むお土産は、ファーバーカステルを数ダース。
でも鉛筆って、すっかり存在感がなくなってしまいましたね。出版社には、鉛筆がゴロッゴロッと転がって、原稿用紙もドサッドサッと積まれていたのに・・・悲しいです。
鉛筆と原稿用紙の影が薄くなった今、とんがるものといえば、メールの言葉と隣国関係です。
少し気持ちがすれ違ってしまった時、メールの言葉はなんだかとんがってしまいます。とんがればとんがるほど、距離が開いてしまう。恋人も、友達も、同僚も。悲しい。
隣国との関係もとんがります。かつてのドイツとフランス。インドとパキスタン。ベトナムとカンボジア。そして、日本と韓国。
人も国も、とんがって距離が開いた時、どうすればいいんだろう。金惠京(キム・ヘギョン)さんという韓国人の女性がこう言っています。
「いがみ合った時は、相手の持つ良い部分を楽しかった時の記憶からたどると良い。・・・そんな良い日の記憶を思い出すことに苦労も、痛みもない。私自身も、言葉に関わる仕事をする者として、そんな記憶の引き出しから懐かしく美しい過去を見つけ、日韓両国の関係改善へのヒントを提示していきたいと考えている。」
この言葉は11月26日(木)に発売される、『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』の、「希望を忘れた関係に未来はない―韓国人サポーターの横断幕に思う」という章の21ページに書かれています。
著者の金惠京さんは、韓国人の国際法学者です。韓国で育ち、日本の雑誌や音楽に触れることで日本への思いを募らせた金惠京さんは、留学した日本で研究者への道を歩み始め、その後アメリカで弁護士や研究者として活躍されました。そして、震災で揺れる日本で生きていきたいとの思いから日本に戻りました。
韓国、日本、アメリカ、三つの国での経験を通して、主に日本と韓国のとんがった関係について読み解き、解決策を提言しているのが、新刊『柔らかな海峡
日本・韓国 和解への道』です。
金惠京さんは十代の頃、non no を読みたい一心で日本語の勉強を始められたそうです。そして、いつか non no を発行している集英社から本を出したいと思ってらっしゃったそうです。
集英社にinternationalという言葉が付いたのが、弊社の名前。この本が集英社インターナショナルから刊行されるのは、まさに金惠京さんにとっても弊社にとっても運命だったのでは・・・という気がします。
表紙カバーの帯に「新鮮で感動的な23の提言」と書かれています。また、「世界で一番美しい評論集」とも書かれています。この言葉はどういう意味なのか、次回のブログで書きます。また、この本の具体的な内容、佐藤優さんと姜尚中さんからいただいた推薦の言葉や、カバーの装画に込められた思想についても、改めてご紹介したいと思っています。
この本が、書店の棚に向かうあなたの背中をポンっと押して、距離が開いてしまった彼女や彼や海峡の向こうの国との関係を柔らかくしてくれればいい、そういう気持ちでこの本を集英社インターナショナルは刊行します。
ぜひ読んで下さい。彼女のために。彼のために。海の向こうの国々と戦争をしないために。
書店さん、ネット書店さんで予約ができます。
どうぞよろしくお願いいたします!!
※ 著者の金惠京さんが、11月10日(火) に文化放送 「大竹まこと ゴールデンラジオ」に出演し(14時20分〜14時50分頃)、『柔らかな海峡』と日韓首脳会談について話されます。Tune & Listen!!
担当編集 日野義則
11月26日(木)発売
『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』金惠京・著
