「バクマン。勝利学」で教わったこと(その2)

さて、その『バクマン。』には佐々木編集長を始め、実名でさまざまな編集者たちが出てきますし、そのジャンプ編集部の中でいかなる会議や議論、編集活動が行なわれているかが克明に描写されていることも有名です。
バクマン。勝利学

弊社の編集部は、そのジャンプ編集部のある建物の目と鼻の先に位置しているわけなのですが、こんなに近くにいるのに、連載中の『バクマン。』を読んでは毎回、「へ~~~、ジャンプ編集部ってこうなっているんだ!」「こうやって連載作品を決めるんだ!」とカルチャーショックの連続。

実際、同じ雑誌編集であっても、男性誌、女性誌、コミック誌などはまったくの別世界。同じ会社であっても、おたがいの「シマ」で何が行なわれているかはよく分かっていないものなのですが、それでも『バクマン。』が垣間見せてくれたジャンプ編集部のようすは、小生のようなスレた編集者をしてびっくり仰天の連続。

そんな『バクマン。』をテーマに今回、「勝利学シリーズ」を作ることができたのは、一編集者としても実に面白くもあり、勉強になり、ラッキーだったのですが、一方で「あんなにメチャクチャに忙しそうなジャンプ編集部の人たちに、勝利学シリーズに協力してくださいって言うのは心苦しいなぁ」と思っていたのです。

まあ、正直な話、一回や二回、

あ゛~、なんスか~? こっちは300万の雑誌を作ってるんスよね~。せかされても、できることとできないことがありましてェ……

的に言われても、そりゃしょうがないと思っていたのです。

ところが! 少年ジャンプ編集部は、これは歴代編集長の教育がいいのでしょうか、それとも先輩の教育がいいのか、それとも日頃から作家さんから鍛えられているせいなのか、そんなことはちっともない。

むしろ、「年末進行で今頃は死ぬほど忙しいんだろうなぁ」と思っているときでも、レスポンスは早い、決断も素早い。

あれだけの大組織(いったい週刊少年ジャンプだけで何十人の人が関わっているやら)なのですから、何につけ「ちょっと上司の決裁を仰がなくては」という返事が返ってきてもしょうがない。

というよりは、それが「普通」だろうと思うのですが、若い門司さんの上司である相田副編集長(『バクマン。』にも相田さんが登場しますが、実物はずっとスリムでハンサム!)からして、「いや、この件はすべて門司に任せていますので」という懐の深さ(※)。

「さすが、ジャンプ。この信頼関係があってこそ、現場も頑張るし、読者が熱狂するマンガができるんだろうなぁ」と感心した次第でした。

あ、そうそう。ジャンプ編集部はバイト君まで電話の受け答えはじつにしっかりしたものでした。よくよく学ぶようにMMT君。

※それは単に本誌の仕事が大変だから、適当にあしらわれているのでは?──という見方も可能でしょうが、それはないと断言できます。というのも、いい加減な連動企画にOKを出し、結果として粗雑な本が出来たら、それはジャンプの300万愛読者を裏切ることにもなるし、また作家のみなさんをも裏切ることになる。実際、門司さんは今回の本のゲラを隅々まで読んで、チェックしてくださいました。あらためて門司さんに感謝。

関連リンク
『バクマン。勝利学』特設ページ

「勝利学」シリーズ