『資本主義はなぜ自壊したのか』中国語版!

資本主義は……中国語版
資本主義は……中国語版

雑誌や新聞と比べれば、書籍、ことに書籍の初刷の部数というのは実に小さなもので、作っている当事者の私たち自身、「本当にミニコミだなぁ」と思ったりもするのですが、しかし、そのように少部数でのスタートではあっても、一生懸命に著者とタッグを組んで作った本が予想以上の読者を得たり、あるいは思いも寄らない反響を得たりするもので、「これだから書籍編集は止められない♪」と思ったりもします。

さて、近ごろ、私(MKT)が作った本の「余波」というか「反響」があったもので、嬉しくなってしまいました。

その一つは一昨年の冬に出した中谷巌著『資本主義はなぜ自壊したのか』の中国語版が発行されたこと。

いや、今や日本の文化や思想、言論に対して(昨今の尖閣諸島問題や反日運動はあるにせよ)、中国の関心はひじょうに高く、日本で評判になった本が中国語に訳されるということは、けっして珍しいことではありません。実際、弊社でも多数の本が中国でも訳されていますし、もちろん台湾や韓国などでも出版されております。

しかしながら、今回の翻訳が特に感慨深いのが、なんと中国語版の版元がかの「社会科学院」直轄の出版社(社会科学文献出版社)であることなんです!

中国の社会科学院というと、Wikipediaなどにもあるとおり、中国における最高最大のシンクタンク。中国共産党の「頭脳」にもあたる機関といっても、けっして過言ではありません。

その社会科学院が「むむっ!この本は中国語にして翻訳しないとイケナイぞ!」と思ったのですから(あくまでも想像ですが)、これは何だか嬉しいではないですか。

まあ、よく考えてみれば、今の中国は急激な経済成長にともなう格差問題、自然環境の破壊など、さまざまな問題を抱えているのですから、日本を代表するエコノミストの中谷さん(中国語版の帯では「新自由主義の急先鋒」と書いてあります)が「懺悔録」(これも帯にあり)を書いたというのですから、中国共産党のシンクタンクとして「これは要注意だ!」と気になっても当然でしょうね。

でも、よく考えたら、この本って北京政府の経済政策に対する批判とか、中国の環境問題批判とか書いていたような気がするのですが……。




そこを気になって中谷先生にお聞きしたら、「そういえば何カ所か、向こうの出版社から『これだけは勘弁してくれないか』と言ってきたところがあったなぁ。アッハハハハ」と笑っておられました(さて、そこが削除されているのかどうかは小生も中谷さんも中国語が読めないのでよく分かりません 汗)。

著者名が!
著者名が!

しかし、それにしても中谷巌という名前が中国語になると「中谷岩」になるんですね。それもちょっとびっくりしました。

さて、もう一つの「反響」は……それは稿を改めて書くといたしましょう。