寂聴さんといえば、多くの人が心に思い浮かべるのは「青空説法」のシーンではないでしょうか。
お寺の境内を埋め尽くした善男善女を前に、ユーモアを交えながら仏教の教えを説く寂聴さんの姿はこれまで数え切れないほどテレビで放映されましたし、また法話をまとめた本も何冊も出ています。
さて、これまで寂聴さんの法話を聴きたいと思ったら、岩手県二戸市の「天台寺」の青空法話に行くか、あるいは京都・嵯峨野「寂庵」での法話(こちらは青空ではありません)に行くしかありませんでした。
岩手・天台寺での法話は誰でも無料で参加できますが、西日本の人にとってはあまりに遠い(それでも九州や海外!から聴きに来る人もいます)し、また京都・寂庵の法話は会場の関係で抽選制になっていて、これも難関です。
ですので、「寂聴さんの法話を聴きたくてもそのチャンスがなかなかない」と嘆いていた人は多かったのですが、
この青空法話がこのたび寂聴さんの故郷・徳島で聴けるようになったのです!
これは寂聴さんファンにとっては朗報ですね!
その会場は「徳島阿波おどり空港」からタクシーで20分ほどの場所にある、ナルト・サンガ。
サンガというのは古代インドの言葉、サンスクリット語で「(人々の)集まり」の意。転じて「修行所」「寺」を意味するようになりました。京都のプロサッカーチーム「京都サンガFC」の名前の由来もここにあります。
ちなみに京都の寂庵で、法話が行なわれているお堂は「サガノ・サンガ」と言います。
徳島のナルト・サンガが開かれたのは昨年末のこと。
去年の夏、たまたま寂聴さんのところに「古い蔵が付いた空き家があるのだけれども」という話が舞い込んだのがきっかけです。最初はそんな気がなかった寂聴さんは、その古い蔵を見て一目で気に入って
「私、ここを買うわ!」
と叫んだのがすべての始まり。
こういうときの寂聴さんはけっこう無鉄砲というか、無計画なんです(汗)
で、買ったあとに「さて、どうしよう」と考えた結果、できたのがこのナルト・サンガ。
「お蔵は写経などを行なう道場に改装し、1000坪近くある空き地で青空法話をやりましょう!」ということになったのです。
さて「1000坪」と聞きますと、私のような下世話な人間は「いくらしたの?」と心配してしまうのですが、実際に行ってみますと納得です。
なぜなら、

周りはみんな梨畑。

地元のタクシー運転手さんでさえ「ここには一度も来たことがなかったわぁ」と言うほどです。
とはいえ、その寂聴さんが「一目惚れ」した蔵はみごとに改装されて、まるで新品みたいになっています。

さっそく道場の中に入ってみると、中は写経のための机が並べられ、正面には仏様が。

これはすごい!
でも、寂聴さんは京都の寂庵にせよ、岩手の天台寺にしても、実にセンスよく作っておられて「小説家にならなくてもインテリア・デザイナーで十分活躍できるんじゃないの?」と思うほどですから、このようにきれいにリフォームされているのは不思議ではないんですけれどね。

さて、話が長くなってしまいましたが、いよいよ青空法話レポート……と思ったのですが、これはまた次回に。
関連リンク:Googleマップで見る「ナルト・サンガ」