
本日、『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』発売です。
本書は、『天地明察』や『マルドゥック・スクランブル』などのヒット作で知られる、作家の冲方丁さんの留置場体験記です。
冲方さんは今からちょうど1年前、妻へのDV容疑で逮捕されました。
これは各マスコミで大きく報じられ、ご存知の方もいるかもしれません。
留置場で9日間にわたって自由を奪われ、釈放、その約2ヵ月後に不起訴処分が下されました。
つまり、冲方さんは、いわれなき罪で警察に拘束されてしまったわけです。
では、なぜこんなことが起こってしまったのでしょうか……?
その答えは、警察、検察、裁判所のシステムの不備にあると、冲方さんは今回の一件を通じて思い至りました。
本書で綴られる、日本の司法組織の姿には衝撃を覚えます。
例えば、
「容疑を認めさせようとありえないストーリーを持ちだす取り調べの刑事」
「体力を奪って被疑者を屈服させる前近代的な留置場のありよう」
「被疑者の言いぶんに聞く耳を持たず不起訴確定に時間をかける検事」
「勾留請求にただハンコを押すだけの裁判官」
など…。
これが、正義を標榜するこの国の国家権力の姿だと思うと、驚いたり、情けなくなったり、怖ろしくなったり、辛くなったりするかもしれません。
でも、冲方さんはこの体験を「わははと、おおいに笑ってほしい。それが物事を変える力になる」と話します。
詳しくは本書にゆずりますが、まさに「事実は小説より奇なり」です。
ぜひ手にとっていただき、ドキドキしながらも楽しんで読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
担当KS