去る2月3日(金)に、JR東京駅のそばにある東京八重洲ブックセンター本店で、外山滋比古先生『考えるとはどういうことか』発売記念講演会が開催されました。
会場となった8階ギャラリーには、開場の18時からお客様が続々ご来場くださり、学生の方からご年配の方まで幅広い年齢層のお客様で80名分の席は満席になりました。
18時30分、いよいよ講演開始。
拍手で迎えられながら登場した外山先生は、壇上に上がって一言。
「今日は本の内容とは違う話をお話ししたいと思います。最近、日本が国際的に地盤沈下していると、多くの人が感じています」
優れた能力を持っているはずの日本人が、近年、知識偏重主義に陥った結果、思考力が低下して独創性を欠いてしまったというのです。思考力と独創性を取り戻すために、自分の頭で考えることが大切だとおっしゃいました。

特に印象的だった外山先生の言葉を、いくつかご紹介します。
「本当に考えるということは、無から有を生ずる過程である」
「忘れて、忘れて、忘れきれないものが残ったら、そのものを中心にしてものを考える。そうすれば、きわめて独創的で、決して他の人とは同じものにはならない」
この、前向きな姿勢で詰め込んだ知識を忘れるという行為は、先生によれば「忘却消去法」というのだそうです。この方法を実践すれば、誰もが中年からでも哲学者や、思考の専門家になれるとおっしゃっていました。
およそ一時間にわたり、背筋をぴんとのばして立ったまま講演した外山先生。マイクも必要ないのでは? と思わせる声のはりに、88歳とは思えない! と驚かれた方も多かったのではないでしょうか。教壇に立っていらした頃の外山先生を想像してしまいます。
講演会の後は、本を購入したお客様を対象にサイン会が行なわれました。使い慣れた万年筆で、あっと言う間にサインする外山先生。本をたずさえたお客様の長蛇の列もなんのその。

外山先生の教え子だったという方もいらっしゃり、かつての教え子に照れくさそうにこたえる様子が微笑ましかったです。
ちなみに、サイン会で使っていた外山先生の愛用品は、ドイツの老舗メーカー・ペリカンの万年筆でした。モンブランはもちろん、何本もコレクションなさっているとか。
講演会は、おかげさまで大盛況に終わりました。
寒い夜にご来場くださったみなさま、関係者のみなさま、本当にありがとうございました!
担当U
