素敵なニュースが東京から届いたのは、ちょうど佐野眞一さんと一緒に、沖縄に取材をしている真っ最中でした。
第30回全国高校生読書体験記コンクールで、群馬県立高崎女子高校の一年生、西平美里さんが書いた「沖縄人を名のること」が【文部科学大臣奨励賞】に輝きました。
そして、その体験書籍が、佐野眞一さんの著書『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』だったのです!
ちょうど本書の文庫版のために、佐野さんと、集英社文庫の担当Eさんと私と3人で、追加取材のために沖縄を訪れていたところだったのです。
さっそく、送られてきた西平さんの「読書体験記」を読んで、佐野さんを始め一同大感激しました。
大人でも一瞬ひるむ650ページあまりの大作を、高校一年生が読もうと思ったということだけでも驚きなのに、「体験記」そのものも、さすが受賞作だけあって、胸を打つようなとても素晴らしい文章なのです。
受賞者の西平さんは、沖縄生まれで、2歳まで沖縄に住んでいた方なのだそうで、おそらく親戚には今も沖縄に住んでいる方が多いのでしょう。でも「本書のほぼすべてが知らない事実だった」といいます。
「番組で異様に鮮やかに飾られた南国は、真の沖縄ではない。シンボルのキビ畑さえ、産業を好転させられぬ問題点となっていることをテレビから聞いたことは一度もないのだ」
というくだりを読んだときには、佐野さん以下3人は、ランチを食べながら思わず絶句してしまいました。
それは、注文したジャッキーステーキハウスのサーロインステーキMサイズが、あまりに美味しかったからではありません。
とても丹念に本書を読み、そして著者のメッセージを真正面から受けとっているその感受性に感動したからです。
佐野さんはじめ、一同すっかり元気をいただき、それからの取材には、さらに熱が入りました。
西平美里さん、ありがとうございます。
そして、おめでとうございます。
「体験記」の全文は、まもなく、このコンクールを主催する(財)一ツ橋文芸教育振興会のホームページ上で読めるようになるそうです。
ぜひ、読んでみて下さいね。
(TKD48)
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