『蘇る天平の夢 興福寺中金堂再建まで。25年の歩み』が発売になりました。
遡る10月7日から11日まで、奈良の興福寺中金堂が300年ぶりに再建され、落慶法要が行われたことは、ニュースでご存じの方も多いと思います。
この本は、その中金堂再建を決意した著者(興福寺貫首)が、約四半世紀の年月をかけて邁進し、遂に落慶を迎えるまでの、あらましを記した1冊です。
境内を天平の文化空間に戻したい、その一心で歩み続けた25年という長い年月。
そこには、貫首の思いを汲んで、協力を惜しまなかった寺社建築の宮大工、瀧川昭雄氏と古代瓦職人の山本清一氏の力が欠かせませんでした。
この本では、貫首多川氏の意向で、おふたりが率いる職人集団の仕事ぶりも収めています。
日本の伝統を正確に後世に伝えようと日々奮闘する、職人の心意気と仕事ぶりをご一読いただけたら幸いです。
10月7日、奈良の空は、朝方の雨がうそのように晴れ渡り、まさしく落慶にふさわしい一日となりました。
会場では、約3000人が参列する中、雅楽の演奏と舞、浅見真州さんによる能「翁」、千宗屋さんの献茶、池坊専好さんの献花などが賑々しく行われ、まさしく「蘇る天平」の華やかさに包まれていました。
大屋根の上から、金色に輝く鴟尾越しに何度もまかれた散華が、青空に舞った時にはその美しさに会場がどよめきました。
初志貫徹のすばらしさ、強い思いは必ず遂げられる、そしてあきらめない心、著者の多川俊映氏には多くのことを教えていただきました。

10月20日から、中金堂は一般公開されます。
興福寺をお訪ねの折には、宝物館、東金堂、北円堂、南円堂などにある国宝の仏像なども拝観してみてはいかがでしょう。
本書巻末には、興福寺で会える仏像を、建物別にわかりやすく紹介したガイドもついています。
また、本書は全国の書店さんのほか、興福寺宝物館でも販売しています。
HPで試し読みもできますのでぜひお試しください。