『親を送る』(井上理津子・著)が本日発売となりました。
井上理津子さんといえば、取材困難な現代の遊郭・飛田新地を10年かけて取材した『さいごの色街 飛田』(筑摩書房/2011年)が、ノンフィクションとしては異例のヒット作になりました。
続く『葬送の仕事師たち』(新潮社/2015年)でも火葬場で働く人たちや湯灌・納棺師など、自ら口を開く人の少ない葬送にまつわる仕事の周辺を取材し、話題になりました。
新刊の『親を送る』は、これまでの井上さんの本とは違って取材対象はなく、ご自身が7年前に相次いでご両親を亡くされた時のことを時系列で書いたセルフ・ドキュメントです。
ですが、やはり一本の糸でつながっています。
『さいごの色街 飛田』の取材をご両親には話せなかったこと、打ちひしがれながら葬儀の準備をしていた時に葬送業界に関心を持ったことが本書に出てきます。
「自分自身に取材」というこれまた取材困難なものに挑んだ新作とも言えます。
80才近くになっても元気な母への複雑な思い、その母が倒れた時の想像以上の苦しさ、父の介護の行き詰まり感、両親を送った後の後悔の嵐など、誰もが経験しうる痛みが、率直につづられています。
同じように大切な人を亡くした悲しみに苦しんでいる人と体験をわかちあい、共感し合うことで少しでも心のケアにつながれば、という思いが本書を書き始めるきっかけとなりました。
親との別れは逃れられないもの。
「親を送る」しんどさに悩んでいる方、悲しんでいる方、不安に思っている方、ぜひご一読いただけますと幸いです。
担当:FKD
