明日6月5日(金)、集英社クオータリー「kotoba コトバ」2015年夏号が発売されます。
今回の巻頭特集は
全集 もっとも贅沢な読書 です。

読書家にとって、「もっとも贅沢な読書」とは何でしょうか?
分厚い本にじっくりと取り組むことのできる時間的な余裕。
多くの本を手元に置くことのできる空間の余裕(経済的な余裕?)。
落ち着いて読書に没頭できる心の余裕。
これらの条件が揃って初めて可能になる読書、もっとも贅沢な読書が、「全集」を読む(所有する)という行為ではないでしょうか?
古くは昭和の初め、改造社の『現代日本文学全集』の大ヒットとそれに続く円本ブームが、読書の大衆化を進めました。限られたエリートのものであった読書の愉しみを、多くの日本人が享受できるようになったのです。
また、戦後の焼け野原で本が払底していた1950年代にも、多くの出版社が競うようにして文学全集を出版し続けました。
全集は、多くの家庭の応接間、書棚を彩っただけではありません。実際に多くの日本人が、全集によって読書に目覚め、文学、評論、学究の道に進んだのです。
今回の特集では、池澤夏樹さん、吉本ばななさん、山折哲雄さん、紀田順一郎さん、荒俣宏さん、佐藤優さん、林望さん、中島岳志さんらに、それぞれの全集との出会い、愛着、拘りなどについてご寄稿いただきました。
皆さんの原稿を読んでいただければ、全集を読むことで読書の愉しみを知り、作家や評論家の道に入られた方が如何に多かったのか、驚かれることでしょう。
書籍の不振が伝えられる現在でも、大・中型書店の本棚には、全集のコーナーがあります。そして現在でも、新しい切り口のテーマ別全集や、より完璧なものを目指した個人全集、一人の作家が選んだ文学全集など、個性的、網羅的な全集が刊行され続けています。
いったいなぜ全集は、これほどまで読書人、出版人の心を惹きつけるのか?
「kotoba」2015年夏号、ぜひお近くの書店で手にとって、その答を探してください。
kotoba編集長 田中伊織