本日発売日を迎えた、『世界の辺境とハードボイルド室町時代』。
書店でも独特の雰囲気を醸し出している、なにやら不思議な力をはらんだ装画は、画家、山口晃さんの『奨堕不楽圖』をお借りしたものです。
馬に乗って出陣!という絵、よく見ると馬の足が車輪になっていたり、時代と合わない武器を持っていたり……。
この絵は実は73cm×336cmの大きなもの。
カバーで使わせていただいた部分以外にも、ゼロ戦が飛び、屋根付き軍艦の横に龍が泳ぎ、都庁と思しき建物もあればお城もあるという、まさに時空を超えた作品で、タイトルは「Show the flag」から取られているそうです。
カバーの部分だけでも面白いことがたくさん隠れています。
本を買われた暁にはぜひカバーを外して、隅々までご覧になってみてください。きっといろいろな発見があると思います。
各章のトビラにも、絵の一部を使わせていただいています。
独特の世界観、どうぞお楽しみください。
著者の高野秀行さん、清水克行さんも山口晃さんの大ファンで、『大画面作品集』などの図録はもちろん、ご著書の『すずしろ日記』や『へんな日本美術史』も読み込んでおられます。
5月には水戸芸術館で行われていた展覧会「前に下がる下を仰ぐ」に、“大人の遠足”と称して出かけ、すばらしい作品の数々や独特の展示方法を堪能されました。
「前に下がる下を仰ぐ」というタイトルの意味合いも、本書の第二章、「バック・トゥ・ザ・フューチャー――未来が後ろにあった頃」と似ています。
会場で初めてお会いした山口さんにはそんな驚きも伝え、本書と『奨堕不楽圖』の世界観が似ているということ、展示されていた漫画風作品「無残ノ介」が高野さん、清水さんおふたりにとっていかに面白かったかということなどをお話ししました。
大人の遠足の締めくくりはもちろん、水戸名物アンコウ鍋(と納豆料理)とお酒で、超時空対談番外編。
かなりの番外編となったため、本への収録はありませんでした……。
担当:YK