
欲望の経済を終わらせる
¥880(本体)+税
発売日:2020年06月05日
経済成長なき時代の財政戦略
日本経済の行き詰まり、格差や分断、将来への不安はなぜ生まれたのか。
気鋭の財政社会学者井手英策が、新自由主義が日本に根ざした歴史を多方面から振り返り、丁寧に、スリリングに解き明かす。
本来お金儲けではなく、共同体の「秩序」と深く結びついていた経済。人びとの共通利益をみんなで満たしあうという財政に立ち返る具体策を示し、「頼り合える社会」を提言する。
自粛・休業要請にも、老後2000万円にもおびえなくてすむ財政システムに!
コロナ時代、コロナ後の社会や生き方を考えるヒントになり、より良い未来にするための必読の書!
商品情報
書名(カナ) | ヨクボウノケイザイヲオワラセル |
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判型 | 新書判 |
ページ数 | 256ページ |
ジャンル | 政治・経済 |
ISBN | 978-4-7976-8053-9 |
Cコード | C0233 |
著者略歴

財政学者。慶應義塾大学経済学部教授。1972年、福岡県生まれ。東京大学卒業。東京大学大学院博士課程単位取得退学。専門は財政社会学、財政金融史。日本銀行金融研究所勤務を経て大学で教鞭をとる。著書に『経済の時代の終焉』(岩波書店、大佛次郎論壇賞)、『いまこそ税と社会保障の話をしよう!』(東洋経済新報社)、『幸福の増税論』(岩波書店)、『ソーシャルワーカー』(共著、ちくま新書)など多数。
目次
【目次より抜粋】
序章 レッテル貼りとしての新自由主義
奇妙な生いたち/新自由主義とグローバリゼーション
第1章 新自由主義へ舵を切れ!
日本をおそった3つのショック/2兆円減税
第2章 アメリカの圧力、日本の思惑
内政干渉を利用した日本の政治/クリントン政権の強硬な態度
第3章 新自由主義の何が問題なのか?
なぜ都市無党派層は新自由主義を支持したのか/論理ではなく願望をかたる政府
第4章 「経済」を誤解した新自由主義の人びと
戦争と病気がうみだした近代国家/「自己責任」と「共通のニーズ」のアンバランス
第5章 頼りあえる社会へ――人間の顔をした財政改革
税と貯蓄は「同じコインの表裏」/成長依存型社会からの脱却
第6章 リベラルであること、そして国を愛するということ
はたらくことが苦痛な社会/ベーシックインカムと人間の自由
終章 自由の条件をかたるときがきた!
国家は必要悪ではなく、必要である/「所得制限」が生む不公平さと社会の分断
お知らせ
- 『欲望の経済を終わらせる』重版出来! 2020年10月05日
- 『欲望の経済を終わらせる』メディア掲載情報 2020年08月12日
- 6月11日 朝日新聞に半5段広告を掲出いたします。 2020年06月10日
- お詫びと訂正『欲望の経済を終わらせる』 2020年06月05日
担当編集者より
お会いした当初、「オリンピックが終わって経済がボロボロになる前に、自分にできることを全てやる」という使命感に燃えた井手英策先生には、講演会や執筆の依頼がどんどん舞い込み、とてもご多忙でした。「これ以上の仕事は受けられない」とのことでしたが、お目にかかると歯切れ良く、熱く、財政や社会を語ってくださいました。いつもそうですが、本気で社会を変えるという気概に満ちた先生の言葉と行動には説得力があり、きれいなパワーをいただいたような気持ちになります。
連載ならば、と引き受けてくださり、季刊誌kotobaでこの本の元になった「新自由主義と僕たちの自由」が始まりました。小田原の小さなお店で目次案をいただいたときの感動をいまも覚えています。
「自由」について考え尽くした本書。市場の自由という甘い言葉に惹きつけられた結果、どれだけの人が苦しむことになったのか。新自由主義に魅入られたのは、政界・財界の人々だけでなく、私たちひとりひとりの責任でもあります。
井手先生の提言する財政改革が実現し、「貯金しなきゃ」という脅迫観念がなくなれば、どんなにのびのびと生きられるだろう。目先の欲や不安にとらわれず、自由に生きたいと、そのためにどうすればいいのかと、読み返すたびに考えます。