
6月26日に発売になった、中村安希さんの最新作『リオとタケル』。
表紙のイメージから「小説?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ノンフィクション作品です。
実際、「小説のように読みました」「第一級の小説のよう!」という感想もいただいています…!
「リオ」と「タケル」は、70年代から90年代にかけてのアメリカ演劇界で活躍したデザイナーであり、中村さんの大学時代の恩師であり、ゲイのカップルです。
中村さんは今回、アメリカと日本で、この2人の恩師の生き方をだとりながら取材を続けました。
「リオ」と「タケル」は、自分の欲求に妥協せず、自立し、幸せに生きることで、周囲を巻き込み説得し、それぞれの「幸せのかたち」をそっと指し示してくれます。
本書では、リオさん、タケルさんの関係者の方へのインタビューがまとめられていますが、今日はその中から、印象的な言葉をいくつかご紹介します。
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彼はいずれ、ブロードウェイやビッグネームの映画会社に行くだろうと思われていました。そういう未来を最も期待されていたデザイナーの一人でした。
──カレン・リベラ(ユニバーサルスタジオ衣装部門・主任)p.25
「我々は皆、人間だ。腹の立つこと、悲しくなることはたくさんある。あって当然だ。ただ、学生たちにはそういった感情とどう向き合い、対処すべきかを学んで欲しかった。そこで手本となる人、見習うべき人材を用意した。リオとタケルだ。私は、彼らが感情的になったところを一度も見たことがない。ただの一度も、だ」
──キャメロン・ハーヴェイ(カリフォルニア大学アーバイン校演劇学部・元学部長、ユタ・シェイクスピア祭・元芸術監督)p.91-92
「彼は彼の運命を生きた。いろんなものを削ぎ落として、あそこに行き着いたんだと思う」
──イワサト・ユウコ(タケルの学友)p.157
「妻はその意味をすぐに理解したようでしたが、私には分かりませんでした。ホモセクシュアルというものが何なのか、さっぱり分からなかったのです」
──リオのお父さん(元原子物理学者)p.173
「僕は一生、ゲイであることを隠し続けて生きていくと思っていた。(中略)僕はずっと怖かった。不安を抱えて生きていた。でも、あの頃から何十年も経って、今僕は、生徒たちにはっきりと言うことができる。僕が恐れていたことは、何一つとして現実にはならなかった、と。(中略)そして今、僕が公の場でこうして自信をもってスピーチできるのは、リオやタケルの存在があってのことだ。ロールモデルとして、壇上に立つ僕の背中を押してくれているんだ」
──ビル・ラウシ(オレゴン・シェイクスピア祭・芸術監督、コーナーストーン・シアターカンパニー・共同創始者)p.264
「人間のセクシュアリティの一番いい解釈というのは、オープンでいることだと思う。そもそもセクシュアリティというのは、男が好きか、女が好きかってことではなくて、誰が好きか、って話だから」
──ショーン・カウェルティ
(二人の教え子。ローグ・アーティストアンサンブル・芸術監督)p.297
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“ウェブ立ち読み”では、プロローグ、第1話、第2話を公開中です。
「リオ」と「タケル」の学生時代、卒業後に優秀なデザインチームとして演劇の世界で活躍していた頃を知る方々のお話です。
次回は読者の方からの感想コメントなどをご紹介します。
広報K