
2月26日に、『日本語を作った男 上田万年とその時代』(山口謠司・著)が発売になります。
明治維新を迎え「江戸」が「東京」となった後も、それを「とうきやう」とか「とうけい」と様々に呼ぶ人がいました。
いまからわずか100年前の明治には、まだ私たちが現在話しているような「日本語」はなかったのです。
驚くべきことに、全国で共通に通じる言葉がないならいっそ公用語を英語にしてしまえという議論さえ真面目になされていました。
外来語をどう表記するかという基準もなく、私たちが現在「ドン・キホーテ」と呼んでいる名前も、「ドン、キホオテ」や「ゾン、キホテ」「ドン、ギホテ」など様々に表記されていました。
そんな中、「言文一致」という新しい試みが始まります。
二葉亭四迷は落語を速記した文章を参考にして「浮雲」を書き、また夏目漱石も「吾輩は猫である」という、まったく新しい日本語の小説を生み出した……
そして、その背後には 上田万年 という一人の言語学者がいたのです。
上田万年と夏目漱石との運命的な関わり、森鷗外との激しい議論、斎藤緑雨への憧れ……。
「日本語(標準語)」を作ることこそが、国(国家という意識)を作ることであると信じ、近代言語学を初めて日本に導入すると同時に、標準語の制定や仮名遣いの統一などを通じて「近代日本語」の成立にきわめて大きな役割を果たした上田万年。
彼自身が目指した表記や発音の統一だけでなく、出版、流通、教育、娯楽、軍事まで、明治という時代を「日本語」という視点で俯瞰し、現在、私たちが話している日本語はいかにして「作られた」のかを徹底して描いたノンフィクションです。
明治に違う流れがおきていたら、私たちはいまどんな日本語を話していたでしょう?
こうして記述している文章も、まったく違っていたかもしれません。
そう思うととても不思議です。
現代の言語環境の礎を作った明治の先人たちの物語を、大河ドラマを見るような気分で、ぜひお楽しみいただければと思います。
担当M
★ 2月26日発売!
『日本語を作った男 上田万年とその時代』(山口謠司・著)