佐藤優さんの最新刊『ファシズムの正体』、好評発売中です。

都内某ホテルで、佐藤さんに本書の企画をお願いしに行った時のことです。
佐藤さんは「ファシズムとか、ファシストとか言う単語は、日本では絶対悪のシンボルとなっていて、相手を罵る言葉として使われています。
だから、日本では冷静な議論がほとんどなされていません。
ファシズムの本質をしっかりとつかんで、きちんと向き合うためにも、複雑な論理で組み立てられているファシズム現象を分析する書籍が必要です」と語られると、全体の構成について、その場で一気に決められました。

そんな佐藤さんとの打ち合わせで強く印象に残っているのが、
その膨大な知識の片鱗に触れたときのことです。
「当時の認識を『等身大』で見ることが、ファシズムを理解する早道なのです」。そう述べられた佐藤さんは、近年刊行された書物だけでなく、
ファシズムが起こった時代の本も参考資料として挙げられていきました。
一通り資料を挙げると佐藤さんは、
書籍の内容だけでなく本が書かれた当時の政治状況や
作者の性格までを丁寧に説明してくださいました。
古今東西の浩瀚(こうかん)な書物に精通する佐藤さんの知識量に
改めて驚かされました。

また、打ち合わせで意外に感じたのは、
「ファシズムは福祉国家論と親和的」とおっしゃったことです。
ファシズムは新自由主義的資本主義がもたらす、失業・貧困・格差などの問題を、国家の介入によって是正することを特徴とし、
それゆえ失業や貧困にあえぐ国民から支持されやすい、というのが理由でした。
今まで聞いたことのないようなファシズムの論理を佐藤さんからうかがい、
「これはすごい本になる」という期待に胸が膨らみました。

「魅力的に見えるからこそ、危険な思想であるファシズム」を詳細に分析した『ファシズムの正体』は、
インターナショナル新書公式サイトで「まえがき」と「序章」を公開中です。
ぜひご覧ください。

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担当本川浩史