和光晴生さんの新刊

2010年6月1日

弊社から刊行いたしております『赤い春 ~私はパレスチナ・コマンドだった』の著者・和光晴生さんの新刊『日本赤軍とは何だったのか その草創期をめぐって』がこのたび彩流社から刊行されました。

日本赤軍とは何だったのか 書影

日本赤軍とは何だったのか 書影




和光晴生さんは1970年代にパレスチナに渡り、同地でコマンド(兵士)としてパレスチナ解放運動に参加したという、貴重な経験の持ち主です。

弊社の『赤い春』では70年代後半のレバノンを舞台に、パレスチナ解放運動のようすを等身大で描いた書として、作家の船戸与一さんからも絶賛を頂戴いたしました。

その和光さんが今回、上梓した『日本赤軍とは何だったのか』は、レバノンの地でその草創期に立ち会った人間の一人として、巷間で言われている「日本赤軍」のイメージがいかに実体から乖離したものであるかを、つぶさに報告し、検討して、問題提起をなさっている労作です。

この本を読むと、いかに日本赤軍の組織が実体よりも大きく報じられ、またその「解放運動」なるものが実際よりもオーバーに伝えられているかが──いささかの衝撃を伴いつつ──理解できます。

といっても、本書は、単に日本赤軍という集団、あるいはその集団を率いたリーダーに対する糾弾や批判の書ではありません。

およそ、どんな運動体、組織であっても陥りかねない危険性についての「警告の書」として読まれるべき内容だと思います。

組織とは何のためにあるの、運動とはどうあるべきなのか──その何よりの例証が日本赤軍であるというのが和光さんのメッセージでありましょう。

和光さんは今、最高裁判所の上告棄却を受けて、徳島刑務所に無期懲役囚として収監されています。

獄中通信によれば、2000年に日本に強制的に帰国させられて以来はじめて、自分の目で日本の国土を、今年の春、東京・小菅から徳島への移送中に、高速道路を走る護送車の車窓から見たそうです(コンビニ弁当も初めて食べたとか!)

和光さんの目には、今の日本はどう写ったのか──そのことは大いに気になるところですが、これについて和光さんは何もコメントしておられません。

21世紀に入り、すでに10年。いわゆる「全共闘の時代」、そしてそれに続く、「新左翼の時代」はすでに歴史の中に入りつつありますが、しかし、そこで「私たちの歴史」としてこの時代のことがきちんと検討されているとは、とうてい言えません。

今回の和光さんの『日本赤軍とは何だったのか』が、その考察の一助になることを祈ってやみません。

彩流社ホームページ

*弊社刊行物へのご意見・ご感想はこちらにお寄せください。
⇒【読者の声 受付】

コメントをどうぞ