『そして<彼>は<彼女>になった』好評発売中です。

2016年11月4日

「東大教授の安冨歩さんに女性のパートナーがいて、その女性が安冨さんの女性装を促したらしいよ」。

とある方からそんなお話を聞き、それはどういうこと!? ……失礼な言い方かもしれませんが、好奇心がムクムクとわいてきたのが始まりでした。

気がつくと、漫画家の細川貂々さんと出かけた、安冨さんとパートナーおふたりへの取材は何日間にもおよび、その後、貂々さんの最初のネームやコマ割りから、さらに全員がそれぞれ推敲に推敲を重ねて、コミックエッセイ『そして<彼>は<彼女>になった 安冨教授と困った仲間たち』ができあがりました。


<女性装>の麗人・安冨さんのことは、貂々さんも、編集を担当した私ももちろん存じ上げていたのですが、ご自身みずからその変遷を語られた前著『ありのままの私』を改めて拝読し、社会の中で要請される「男性が男性として生きていくこと」のしんどさと、そこから「降りた」安冨先生の肩の力が抜けた、楽しそうな日々の描写は、やはりとても新鮮に感じられました。

一方で、そうして生きていくことは容易なことではないだろうし、ましてや冒頭のようなパートナーがいらっしゃるとは! このこと自体が不自由な偏見に基づく印象に違いない、とわれながら恥ずかしく感じるのですが、実際にお話をお聞きするにつれて、おふたりの関係のあまりの「自然さ」に、こちらの気持ちが解放されていくような思いを何度ももちました。


今回の本は、安冨さんの「外見」の変遷の背景を、身近なパートナーである「ふうちゃん」の目を通して描くものであり、また、おふたりそれぞれの強烈な「毒母」体験と、それを通した運命のような出会いがまるで必然であったように感じられる、奇跡のようなストーリーでもあります。

もちろん、変化は安冨さんだけではなく、安冨さんの一見特殊な事情と強烈な個性を受け止める存在に過ぎないように思えてしまうふうちゃんの側にも、さまざまなかたちで起きてきます。

自分以外の誰かと一緒に生きるって、どういうことだろう? 作品に描かれたプロセスの中から、読む人それぞれが気づくこと、リアルに感じることがきっとたくさんあると思います。


ステキな推薦コメントを小島慶子さんが書いてくださいました。

また、巻末の安冨さん、ふうちゃん、貂々さん三人のリラックスしたおしゃべりも併せて、ぜひお読みください。

編集担当・Y

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