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「kotoba コトバ」2017年夏号 発売のお知らせ

2017年6月6日

今回の『kotoba コトバ』の特集は、「大人のための『ファーブル昆虫記』」です。



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『ファーブル昆虫記』というと、少年が読むものというイメージがありますが、完訳版は大人が読むべき博物学の名著です。ダーウィンの進化論に対する徹底的な反駁のほか、生物の多様性や神秘性を再発見する、驚きに満ちた内容。今回は、フランス文学者で『完訳ファーブル昆虫記』(集英社)の翻訳者・奥本大三郎さんの監修のもと、この大著を特集しました。


巻頭言では、『昆虫記』が書かれた経緯とその内容について奥本さんが解説してくださっています。


「彼はフィールドノートを取り、長い間構想を練って、昆虫そのものと、それを観察している自分という人間の心の動きを描写している。(中略)そこに数学の想い出だとか、息子の死の悲しみだとか、自分の育った南仏ルーエルグ地方の農民の生活だとか、自伝的、人間的、風土的要素を含む文章まで差し挟んでいるのである」。


そう、『ファーブル昆虫記』に綴られていることは、昆虫の話のみに留まらないのです。


パート1「ファーブルと進化論」では、生物学者・福岡伸一さんが、現在の進化論だけでは説明しきれないものが自然の中には満ち溢れていると主張。「私たちはしばしば自分が想定した仮説やモデルやメカニズムに固執し、その前提に囚われるあまり、自然のほんとうの姿を見失いがちになる」と警告されています。


パート2「ファーブルから学んだ」では、昆虫学者・丸山宗利さんが、「ファーブルと多様性」について、ご自身が研究されている昆虫分類学をもとに紹介。「「種の多様性」「生態系の多様性」「遺伝子の多様性」はいずれも生物の多様性を知るうえで重要なものであるが、『昆虫記』はすべてに関して重要な情報と示唆を含んでいる」と称えています。


パート3「ファーブルの時代」にご寄稿いただいたのは、フランス文学者の鹿島茂さん。教養こそが社会的地位を上層させるための唯一の武器とされていた19世紀は、伝統的社会から近代社会へ移行しつつあった時代です。当時のフランスの文化的・教育的背景について、鹿島さんに解説していただきました。


この他にも、ファーブルがつないだ日本のハチ学や糞虫研究、ダーウィンとファーブルの往復書簡など、偉大なる昆虫学者の知られざる一面に光を当てた読み応えのある記事がそろいました。

ぜひ書店で手に取ってご覧ください。