‘ショコラ’ カテゴリーのアーカイブ

『ショコラ』著者、ジェラール・ノワリエルさんが東京、大阪で講演をいたします!

2017年6月9日

『ショコラ 歴史から去られたある黒人芸人の数奇な生涯』の著者、ジェラール・ノワリエルさんが来日! 東京、大阪で講演をいたします。

・6月13日(火)18: 00~は、アンスティテュ・フランセ東京(新宿区飯田橋)にて映画『ショコラ 君がいて、僕がいる』の上映会と、上映後ノワリエルさんの講演会。http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1706131800/

・6月14日(水)18:30~20:30は、日仏会館1Fホールにて講演会「歴史の社会的機能」。
http://www.mfj.gr.jp/agenda/2017/06/14/20170614noiriel/index_ja.php

・6月15日(木)18:30~20:30は、日仏会館501会議室にて人文社会系セミナー「19-20正規の歴史家たちのネーション観」
https://www.mfjtokyo.or.jp/events/course/20170615.html

・6月16日(金)18:30~21:00は、大阪市立大学 文化交流センター(大阪駅前第2ビル6階)にて講演会「フランスという坩堝は今」(連絡先:インターナショナルスクール事務局is_office@lit.osaka-cu.ac.jp )

ふるってご参加ください。

『ショコラ』概要紹介⑤

2017年5月19日

『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』の著者、1950年生まれのジェラール・ノワリエルは、フランス社会科学高等研究院教授で、フランスにおける移民史研究のパイオニア的存在です。

ロートレックによるショコラのデッサン(©BNF)

ロートレックによるショコラのデッサン(©BNF)


本書の冒頭で、「レイシズムを告発するよく聞く道徳的な台詞(せりふ)の羅列は避けたかった。そうした言葉はもはや大して役に立たないだろう。何か新しいアイディアが必要だった」と言い、そのために、ラファエルというひとりの黒人奴隷を見つけ、その生涯を綴った動機を述べています。

「フランス革命」からそれほど時間が経っていなかった当時のパリは、「人間は生まれながらにして、みな平等である」という世界で最も「人権」を尊重していた場所、のはずでした。

しかし実際には、この「人間」という概念に、黒人は含まれていなかったのでしょう。

黒人は「猿から人間へと進化する途中の動物」とあからさまに考える人がまだ多かった時代だったのです。

それを示す一例が、本書に出てくる「順化園」というパリの名所のひとつです。

ここはほぼ動物園と変わりのないものですが、当時、アフリカからある黒人民族を連れてきて、世にも珍しい動物として「展示」したのです。

「順化園」で「展示」された、いちアフリカ民族(©BNF)

「順化園」で「展示」された、いちアフリカ民族(©BNF)


おそらくこの「順化」とは、自分たち「白人」こそが動物たちをより進化させる責任と力を持つ、という意味だったにちがいありません。

つい一世紀前には、まだ私たち人間のなかに、そのような意識が強く残っていた状況下で、ラファエルは道化師の大スターとなった。

当然ながら、ラファエルの揺れ動く人生の根底に、白人たちの心から消すことのできない「差別意識」があったのです。



以上、5回にわたってご紹介してきました『ショコラ』、ぜひ映画とあわせてご覧いただければ幸いです。

担当IKM


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ショコラ



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出演:オマール・シー、ジェームス・ティエレ
監督:ロジェディ・ゼム
(配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES)

『ショコラ』概要紹介④

2017年5月16日

『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』概要、前回からのつづきです。

●不思議な運命と、白人の「差別」によって翻弄されたラファエルの人生④

054(上)

パリの小児病院に請われて何度も慰問に訪れた晩年のラファエル(©BNF)


ついにふたりがヌーヴォー・シルクから解雇される日が訪れます。相棒フティットはそのために精神が錯乱し、ふたりはついにコンビを解消することになります。

その後、ふたりは何度となくヌーヴォー・シルクから請われてコンビを再結成しますが、新しい時代の波には逆らえず、もはやかつてほどの人気を取り戻すことはできませんでした。

生涯の相棒と思っていたフティットとも別れ、その後、ラファエルはサーカス団をわたり歩く一方で、演劇の主役にもチャレンジしましたが、結果は大失敗に終わります。息子と娘のふたりの子供は成長して父の職を継ぎ、サーカスの世界に入って一家の生計を助けました。しかし、娘は19歳で病死してしまいます。

悲嘆にくれつつも、道化師として必死に生き続けたラファエルでしたが、やがて、地方巡業先の宿の一室で、ひとり死を迎えます。(次回につづく)

担当IKM



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『ショコラ』概要紹介③

2017年1月18日

『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』概要、前回からのつづきです。


●不思議な運命と、白人の「差別」によって翻弄されたラファエルの人生③

フティットとショコラの珍しいコンビ写真(©CIRCOPEDIA)

フティットとショコラの珍しいコンビ写真(©CIRCOPEDIA)


天才道化師フティットとのコンビで人気と名声が決定的になったラファエルは、やがて、マリーという白人の既婚女性と恋に落ちます。

そして、マリーはふたりの子供を連れて夫のもとを去り、ラファエルと四人で生活する選択をします。

まだ黒人への差別意識があからさまだった時代、このマリーの勇気と決断は、人生を賭けてラファエルを愛するという強い意志があったからでしょう。

輝かしいスターの座と愛する女性との家庭。
初めて「人間」として最大のふたつの「幸せ」をつかんだと思ったラファエルでしたが、それは長続きしませんでした。

パリのモンマルトルやアメリカで生まれた新しい文化の波が一気に押し寄せ、人々の関心は新しい趣向のエンターテイメントに移ったため、フティットとラファエルのコンビの人気にかげりが見え始めたのです…。(次回につづく)

担当IKM



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いよいよ1月21日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー!


『ショコラ 君がいて、僕がいる』
出演:オマール・シー、ジェームス・ティエレ
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(配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES)


『ショコラ』概要紹介②

2017年1月16日

好評発売中の『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』概要について、ラファエルがパリでスターになった前回からつづきます…。


●不思議な運命と、白人の「差別」によって翻弄されたラファエルの人生②

ふたりが演じる様子を撮影した当時の写真(©BNF)

ふたりが演じる様子を撮影した当時の写真(©BNF)


初めて主役に抜擢されて演じたプログラムが見事な成功を収め、一夜にしてパリのサーカス界のスターになったラファエルは、その後、天才イギリス人道化師フティットと運命的な出会いをします。

彼もラファエルの魅力に惹かれ、相方に選ぶことを決めます。ここに、サーカス史上初めて、白人と黒人の道化師コンビが誕生したのです。

このふたりの芸の斬新さに誰もが絶賛し、その名と人気はまたたく間にパリ中に広まりました。

それは、ただ「殴られ、罵倒されて笑われる黒人」役だっただけのラファエルが、ついに「白人」と対等な立場で芸を演じる存在になったことを意味していたのでした。
(次回につづく)

担当IKM


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『ショコラ 君がいて、僕がいる』
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フランス本国で注目を浴び、映画化もされた感動の大著『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』好評発売中です。

2017年1月12日


カバー決定感動のヒューマン・ドラマを描いた『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』が、1月6日に刊行になりました。

本書は、歴史家である著者が、わずかに残る歴史のかけらを丹念に拾い集め、いまだ「差別意識」が強く残る19世紀末のパリで人気随一の芸人「ショコラ」になった、ひとりの元黒人奴隷の生涯を、600ページ近い分量で描ききった、まさに驚くべき大作です。

最初は編集担当の私自身、この圧倒的な文章量にひるむような思いでしたが、一度読み始めると、著者の緻密な調査と分析から鮮明に浮かび上がってくるひとりの黒人の半生と、それを取り巻く当時のパリの活き活きしたエンターテイメントの世界がリアルに伝わってきて、思わず引き込まれてしまいます。

物語の概要をできるだけわかりやすく、何回かに分けてご紹介したいと思います。
(さらに…)