‘柔らかな海峡’ カテゴリーのアーカイブ

『柔らかな海峡』著者・金惠京さんから SEASON’S GREETINGS が届きました。

2015年12月24日

『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』著者・金惠京さんの温かいメッセージが届きました。

自筆のクリスマスカード。

クリスマス、年末年始、休める方も仕事の方も、穏やかで静かな日々をお送りください。

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金惠京氏クリスマスカード



高い評価で静かな感動!!

『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』(金惠京・著)

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『柔らかな海峡』本日発売。海峡の前に立つ、彼と彼女とあなたに!! 読んでほしい本です。

2015年11月26日

<海峡という思想>

物語のある表紙にしたい。

本日発売された、金惠京(キム・ヘギョン)著『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』の表紙について具体的に考え始めた時から、ずっとそう思っていました。

この本の主なテーマは、こじれきった日韓関係。国際法学者の金惠京さんが、両国が和解に向かうための補助線を提言しています。すらすらと読みとばせたり、笑えたり、そういうジャンルの本ではありません。でも、読み終えたときに希望がわいてくる本です。

どんな表紙なら、書店の棚の前に立つ人たちの背中をぽんっと押して、この本に手を伸ばしてもらえるだろう。どうすれば、この本の内容を人に伝えることができるだろう。いろいろと考えてみました。

そして、それは物語だろうと思い至ったのです。国と国との関係も、それをつくっているのは人と人です。二つの国の間の海峡には、いろんな物語があったはず。そして、物語なら人の背中をぽんっと押す力があるはずだ。そう思いました。


この本の担当編集者の私は、写真を撮ります。自分で撮った海の写真を使おうと思いました。でも、物語のある海のイメージがどうしてもわいてこない。思いあぐねていたある夜、編集部にあったイラスト集のページをなにげなくめくっていると、ある海の絵が目に飛び込んできました。

その瞬間、この絵だ!! と強く思い、この絵を描いたイラストレーターに表紙の装画をお願いしようと決めたのです。こういう気持ちを英語で「 I was stunned !!」 と言います。スタンガンの「stun 」。ぐっときたり、しびれたり、ひとめぼれをした時に使う表現です。その後もページをめくれば、ぐっとくるイラストがあったのかもしれません。でも、私はそこでイラスト集のページを閉じました。

そのイラストレーターが、今回、物語があるすばらしいイラストを描いてくださった田口実千代さんです。

田口実千代さんと、どんな絵にするかの打ち合わせをした時に、海の話をたくさんしました。田口さんが生まれ育った、どこからでも海が見える街の話。海を見ているとほっとするということ。広々とした風景が好きだということ。私は北野武監督の『あの夏、いちばん静かな海。』の話をしました。静かな海辺の日常に深い物語がある映画。


柔らかな海峡 カバー装画
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『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』刊行のお知らせ③

2015年11月25日

<ラーメン屋の日韓論>

まだ夏だった頃の週末のある日、こんなことがありました。11月26日(木)発売の『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』の著者の金惠京(キム・ヘギョン)さんから新たに送られてきた原稿を図書館で読み込んで家に帰る途中、寄ったラーメン屋のカウンターでビールを飲んでいると、隣の女性客二人が話していました。

「嫌いなタイプなのに好きになって、好きなタイプなのに嫌いになるって、あるよね。」「あるある。迷惑をかけられたのに好きで、迷惑をかけられてないのに好きじゃないってあるよね。」「迷惑かけるやつって、結構いいやつがいるよね。いいやつってのが全部を覆い隠してるから、まあいいかな。」

感情の不可逆性。『柔らかな海峡』の原稿を読み込むことで一日が過ぎた週末の夜、二人の会話を聞いていて、日本と韓国、日本とアメリカもそうだなと思いました。

日本で「韓流」という言葉が一般的になり、ドラマや音楽が人気を集めていたのは、ついこの間のことです。李明博前大統領の竹島上陸がきっかけとなってすっかり険悪になってしまった日韓関係。その李明博前大統領のエピソードが『柔らかな海峡』に書かれています。<「いつもの光景」を超えて─竹島(独島)を相互理解の契機に>という章の中に次のような一節があります。

〈私の中には李大統領の行動に対して強い違和感があった。というのも、李大統領の息子と私の弟は小学校以来の幼なじみで、現在まで家族ぐるみの付き合いが続き、普段の“李君のお父さん”の思いが良く分かっているためである。

もう20年ほど前になるが、私が高校時代、日本の大学への留学を考えていた際、自分が大阪で生まれたことや国際的なビジネスでの経験(1992年に政治家となるまで、李明博氏は実業家として知られていた)を踏まえ、「日本だからこそ学べることも多い。これからの韓国を担う世代のあなたは、是非留学するべきだ」とアドバイスをくれたこともあった。〉

このエピソードで書かれたような考えを持つ李明博前大統領の中にもある、感情と行動の不可逆性。人と人との感情は複雑です。でも、国と国との関係も同じ程度には複雑です。国は人と人とが作っているのだから。ラーメン屋の隣にいた二人の会話は、どんな人にも国にも内包されているのです。そして二人の会話は、こじれた関係が何かがきっかけで好転する可能性も示唆しています。
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『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』刊行のお知らせ②

2015年11月24日

<たけしさんと数式と論理展開の美しい関係>

北野武(ビートたけし)さんに、「嘲笑」という詩があります。

太古からそこにある星と、おそらく恋人だろう人への気持ちを重ね合わせて、「ぼくらが昔見た星と ぼくらが今見る星と なんにも変わりがない それがうれしい」と、のびのびとした時間の流れにナイーブな気持ちがからみあう、ストレートでシンプルでナイーブ、たけしさんらしさの3拍子がそろった、好ましい気持ちがぐいぐいと伝わってくる詩です。

この詩には、同じ「嘲笑」というタイトルの、元になった詩があります。やはり星への思いを書いたその詩も、たけしさんらしい「ぶっきらぼうな深さ」がシンプルな言葉で書かれていて、読んでいて気分がよくなる詩です。

この元になった詩を読んだ玉置浩二さんが曲をつけることで、もう一つの「嘲笑」という詩が生まれ、いろんなミュージシャンが歌っています。この詩のことは、以前北野武さんの本を一緒に作った友人の編集者が教えてくれました。

その友人とビールを飲みながらこの詩のことを話していた時、彼は「この詩の中の彼は、自分が彼女に迷惑をかけてしまうような人間だということをわかっているから、口にできない彼女への想いを星への気持ちに託したんだと思う。」と言いました。そうであれば、それもたけしさんらしいとぼくは思い、そして、そうであればいいと思い、シンプルでストレートなこの詩を、美しいと思ったのです。

北野武監督の激しい映像の底には、静かで深い人間への思いがあります。
ぶっきらぼうな詩の言葉の端っこにも、同じ思いが見え隠れしています。
「美しい」とは、そういうことです。


11月26日(木)に発売される、金惠京(キム・ヘギョン)著『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』のカバー帯に、「世界で一番美しい評論集」という言葉があります。担当編集者のぼくが書きました。この「美しい評論集」の「美しい」とは、どういう意味なのでしょうか。本書のプロローグに、次のような一節があります。

「ある意味で、私の日本への思いは一つの物語なのかもしれない。当初は少女の初恋のように、話したこともない人に憧れを抱くのに似た思いだったが、そこで暮らしていく内に、大変な思いを経験しつつも、共に歩むために言葉を紡ぐようになった。今、私が望んでいるのは、韓国をはじめ各国にいる若者たちが、昔の私のような憧れを持つ日本であって欲しいということである。日本が忘れかけている姿を取り戻し、各国と柔らかな関係を取り結ぶ場所となるよう、私も心を尽くしていきたい。」
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『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』刊行のお知らせ

2015年11月9日

<鉛筆と隣国のとんがった愛情>

とんがるもの というとあなたは何を思い浮かべますか?

80年代に仕事をしていた編集者にとって、とんがるものの代表は鉛筆でした。好みの硬さのとんがった鉛筆を数本デスクに並べて、原稿を書いていました。ドイツに行く友人に頼むお土産は、ファーバーカステルを数ダース。

でも鉛筆って、すっかり存在感がなくなってしまいましたね。出版社には、鉛筆がゴロッゴロッと転がって、原稿用紙もドサッドサッと積まれていたのに・・・悲しいです。

鉛筆と原稿用紙の影が薄くなった今、とんがるものといえば、メールの言葉と隣国関係です。

少し気持ちがすれ違ってしまった時、メールの言葉はなんだかとんがってしまいます。とんがればとんがるほど、距離が開いてしまう。恋人も、友達も、同僚も。悲しい。

隣国との関係もとんがります。かつてのドイツとフランス。インドとパキスタン。ベトナムとカンボジア。そして、日本と韓国。

人も国も、とんがって距離が開いた時、どうすればいいんだろう。金惠京(キム・ヘギョン)さんという韓国人の女性がこう言っています。

「いがみ合った時は、相手の持つ良い部分を楽しかった時の記憶からたどると良い。・・・そんな良い日の記憶を思い出すことに苦労も、痛みもない。私自身も、言葉に関わる仕事をする者として、そんな記憶の引き出しから懐かしく美しい過去を見つけ、日韓両国の関係改善へのヒントを提示していきたいと考えている。」

この言葉は11月26日(木)に発売される、『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』の、「希望を忘れた関係に未来はない―韓国人サポーターの横断幕に思う」という章の21ページに書かれています。

著者の金惠京さんは、韓国人の国際法学者です。韓国で育ち、日本の雑誌や音楽に触れることで日本への思いを募らせた金惠京さんは、留学した日本で研究者への道を歩み始め、その後アメリカで弁護士や研究者として活躍されました。そして、震災で揺れる日本で生きていきたいとの思いから日本に戻りました。

韓国、日本、アメリカ、三つの国での経験を通して、主に日本と韓国のとんがった関係について読み解き、解決策を提言しているのが、新刊『柔らかな海峡
日本・韓国 和解への道』です。

金惠京さんは十代の頃、non no を読みたい一心で日本語の勉強を始められたそうです。そして、いつか non no を発行している集英社から本を出したいと思ってらっしゃったそうです。

集英社にinternationalという言葉が付いたのが、弊社の名前。この本が集英社インターナショナルから刊行されるのは、まさに金惠京さんにとっても弊社にとっても運命だったのでは・・・という気がします。

表紙カバーの帯に「新鮮で感動的な23の提言」と書かれています。また、「世界で一番美しい評論集」とも書かれています。この言葉はどういう意味なのか、次回のブログで書きます。また、この本の具体的な内容、佐藤優さんと姜尚中さんからいただいた推薦の言葉や、カバーの装画に込められた思想についても、改めてご紹介したいと思っています。

この本が、書店の棚に向かうあなたの背中をポンっと押して、距離が開いてしまった彼女や彼や海峡の向こうの国との関係を柔らかくしてくれればいい、そういう気持ちでこの本を集英社インターナショナルは刊行します。

ぜひ読んで下さい。彼女のために。彼のために。海の向こうの国々と戦争をしないために。

書店さん、ネット書店さんで予約ができます。

どうぞよろしくお願いいたします!!

著者の金惠京さんが、11月10日(火) に文化放送 「大竹まこと ゴールデンラジオ」に出演し(14時20分〜14時50分頃)、『柔らかな海峡』と日韓首脳会談について話されます。Tune & Listen!!

担当編集 日野義則


11月26日(木)発売
『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』金惠京・著
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