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サラエボ1992-1995
ぼくたちは戦場で育った

ヤスミンコ・ハリロビッチ・編著
角田光代・訳
千田善・監修

定価 ¥2,100(本体)+税
発売日 2015年10月26日
発行 集英社インターナショナル(発売:集英社)
ISBN 978-4-7976-7269-5 C0098
判型 A5判変型
ページ数 288ページ
ジャンル ノンフィクション   
在庫状況 在庫あり
概要
サラエボ包囲戦を覚えていますか?

1992年から4年間にわたったサラエボ包囲戦は犠牲者の8割が一般市民であり、しかも、つい昨日までは仲良く暮らしていた隣人同士が銃を向けることになるという、衝撃的な戦争であった。


「あなたにとっての戦争とは何でしたか」

その戦いが終結してから20年、かつては「戦時下の子どもたち」であった人々もいまや30代前後。戦場育ちのサラエボっ子に向かって本書の著者ヤスミンコ・ハリロビッチ――彼もまた戦争が始まったときは5歳だった――が呼びかけて出来たのが本書である。

SNSを活用して著者は「あなたの子ども時代の思い出(戦争体験)を160字以内で語ってください」と問いかけたところ、数千にもわたるメッセージが集まったのである。


戦争の1000の記憶

本書はその多数のメッセージから選りすぐった1000の「思い出」が詰まっている。 そこには、両親や家族、あるいは友人を喪失した悲しみもあれば、飛んできた迫撃砲の破片を集めたり、戦争ごっこをして遊んだ思い出もあれば、NATOの援助物資を楽しみに待った記憶も綴られていて、「戦時下の子ども時代」のあり方がけっして一通りではないことが伝わってくる。


作家・角田光代の情熱

本書の日本語版出版を誰よりも熱烈に希望したのが、小説家・角田光代だった。テレビ番組の取材(NHK BS「旅のチカラ」)でサラエボを訪れた角田は本書の著者ヤスミンコ・ハリロビッチと出会い、彼の情熱や本の内容に感動し、「これをどうしても日本の読者に伝えたい」と考えたのだった。


千田善氏の全面協力

翻訳に当たっては、元サッカー日本代表のイビツァ・オシム監督(サラエボ出身)の通訳を務め、自身もユーゴ内戦の時期に同国にいた千田善が全面的に協力することとなった。本書の解説で、千田はユーゴ内戦は何の根拠もない「民族神話」が産んだ「ヘイトの戦争」であることを明らかにし、これが「どこの国でも起こりうることなのだ」ということに警鐘を鳴らしている。


オシム監督からの特別寄稿も

サラエボ出身で、自分自身の家族もまたサラエボ包囲戦に巻き込まれた(結果的にはみな無事であったが)元サッカー日本代表監督のオシム氏は日本版序文において「この本を読むと、人生にとって大事なことは何か、また大事なものになりうるものは何か、決定的に大切なものは何か、その感覚が研ぎ澄まされてくるだろう」と熱く語っている。
目次
(本書より抜粋 名前の後ろの数字は生年)
●あともう少しだけ背が高かったら、私はこれを書いていないだろう。わずかに開いたドアから、私の頭のすぐ上を弾が飛んで行った。
セルマ(女)1976年生まれ

●戦時の幼少時代とは、学校に片思いの子がいて、その子が迫撃弾で殺されることだ。
ヤセンコ(男)1977年生まれ

●何がほんとうに起こっているのか分からない──まるでミステリーのようにそれは始まった。そして、子ども時代、友だち、親戚を失うという展開になった。
ズラタン(男)1984年生まれ

●戦争のあいだ、8歳で私は大人になった。水を運び、市場へ行き、妹の世話をする。怖がっている時間はなかった。
ドラガナ(女)1985年生まれ
著者プロフィール
編著:ヤスミンコ・ハリロビッチ(Jasminko Halilovic)
1988年、サラエボ生まれ。作家、NPO法人URBANアソシエーション代表。4歳のときにサラエボ包囲戦が始まり、「戦場の子ども時代」を過ごす。和平合意成立後、サラエボ第一中学校在学中に始めた「サラエボ的思考」というブログが評判になり、書籍として出版。同書はボスニア・ヘルツェゴビナで初めての「ブログ本」となった。以後も執筆活動を継続し、写真付きエッセイ集『サラエボ—ぼくの町、出会いの場所』を出版している。

訳者:角田光代(かくた・みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞。現在は『源氏物語』(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集)の現代語訳に取り組んでいる。

監修:千田善(ちだ・ぜん)
1958年岩手県生まれ。国際ジャーナリスト、通訳。ベオグラード大学政治学部大学院中退(国際政治専攻)。外務省研修所、一橋大、中央大、放送大学などの講師を歴任。2006年よりサッカー日本代表イビツァ・オシム監督の通訳を務める。2012年より立教大講師。著書に『ユーゴ紛争—多民族・モザイク国家の悲劇』(講談社現代新書)、『ユーゴ紛争はなぜ長期化したか』(勁草書房)、『ワールドカップの世界史』(みすず書房)、『オシムの伝言』(同)、『オシムの戦術』(中央公論新社)などがある。
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